2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月6日

英イングランドの地方選挙で与党・保守党が大敗した結果を受け、リシ・スーナク首相は5日、政策方針を変えるべきだとの声に反論し、総選挙前には有権者との関係を「前進」させられると発言した。

2日にイングランド各地で行われた地方選で、保守党は候補を立てた議席の半数近くを失った。計10の行政機構で多数党から少数党へと転じ、地方議会では計473議席を失った。

イギリスでは来年1月末までに総選挙が行われるため、それに先立つ最後の大規模な前哨戦だった。

保守党内からは、スーナク氏は党を右派に寄せるべきだとの批判も出ている。

しかし英紙タイムズの取材でスーナク氏は、「国民のために我々は結果を出しているのだと、示すつもりだ」と、決意をあらわにした。

スーナク氏は今回、保守党が下院(定数650)で過半数議席を失う可能性があることを初めて認めた様子で、地方選の結果は「労働党が最大政党となり、(過半数議席を握る政党がない)宙吊り議会になる可能性を示している」と述べた。

このコメントは、選挙統計分析を専門とするマイケル・スラッシャー教授が英スカイニュースで示した分析と合致している。スラッシャー教授は、現在の最大野党・労働党が次の総選挙で294議席を獲得するとみている。

この予測は、2日の選挙が全国的なものだった場合を想定し、総選挙での得票率を算出している。一方で、この予測を否定する専門家もいる。

スーナク首相はタイムズ紙に対し、「(労働党の)キア・スターマー党首が、スコットランド国民党や自由民主党、緑の党に後押しを得て、(首相官邸)ダウニング街に送り込まれるなど、イギリスにとって大惨事だ」と話した。

「この国に必要なのは政治的な駆け引きではなく行動だ。国民の優先事項を遂行する計画を持っているのは保守党だけだ」

「ここ数年は厳しい時期が続き、人々がいらだっている理由もわかる」

「やるべき仕事もあるし、まだ前進すべきこともある。私はなんとしても党として一致し、国民のために我々は結果を出しているのだと示すつもりだ」

総選挙でのチャンス

労働党は、次期総選挙で政権を取るために他党との協力を予定しているという推測を否定している。総選挙は今年後半に行われる見通し。

同党のパット・マクファデン総選挙調整担当は、BBC番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演し、労働党の勝利を「信じる雰囲気」が出てきたと語った。

また、今回の地方選については「素晴らしい」結果だったと述べ、特に合同行政機構の一つ「ウェスト・ミッドランズ」の首長選での勝利は「予想以上」だったと述べた。

「人々が今の労働党を見るとき、それは数年前とは違う労働党だ」、「有権者が求める本質的な信頼のテストに合格している労働党だ」と、マクファデン氏は強調した。

同じ番組に出演した保守党のスエラ・ブラヴァマン前内相は、スーナク氏の方針は「機能していない」と批判した。

「保守党にとってひどい選挙結果だったのは事実だ」とブラヴァマン氏は指摘し、「ストライキ中の」保守党支持者を取り戻すため、スーナク氏はもっと右寄りに方針を「転換」するべきだと語った。

一方で、総選挙が近づいているこの時期に首相を交代することは「不可能」だとし、スーナク氏の退任は求めなかった。

保守党内では思わしくない選挙結果を受け、、ブラヴァマン氏をはじめとする複数の議員から、より保守的な政策を求める声が出ている。

党内議員団の「新保守グループ」を率いるミリアム・ケイツ議員は、「奈落の底」に落ちるのを防ぐために、保守党は「愛国主義と国家安全保障」を取り入れるべきだと述べた。

英紙テレグラフへの寄稿でケイツ氏は、スーナク氏は「国際的なエリートに奉仕する」政策を無視し、代わりに移民の大幅削減と住宅建設を促進するための計画法改革に集中するべきだと話した。

ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)で首席交渉官を務めたデイヴィッド・フロスト卿は、総選挙での敗北は避けられないと述べ、「減税や支出削減」に加え、温室効果ガスの正味の排出量をゼロにする「ネットゼロの負担に対する深刻な挑戦」が必要だと述べた。

一方、保守党内で有力な議員団「ワン・ネイション・グループ」を率いるデイミアン・グリーン議員は、「有権者の前で、保守党がすべきは右傾化だというのは理に適っていない」と述べた。

BBCのラジオ番組でグリーン議員は、「この数日で保守党が失った議席を見ればわかる。私たちは自分たちより左寄りの党に負けている」と指摘した。

保守党のリチャード・ホールデン幹事長は、「現時点で、保守党議員たちが自問自答して自分について語るのは、甘えだし身勝手だと思う」と発言。「国民が見たいのは、(保守党が)この国に対する明確なビジョンを提示することだ。そう言う人たちの意見に私も、有権者を戸別訪問するたびに賛成する」と述べた。

そのうえで幹事長は、「ここ数日の首相はまさに、そうした将来へのビジョンをたくさん示してきたと思う。福祉改革を進め、この国で福祉が機能する形を根本的に変えたユニバーサル・クレジット(所得保障制度)の変更を推進し、国民の勤労意欲を高める。これは(保守党政権が)過去14年間で実現してきたことだが、さらに前進する必要がある」とも話した。

幹事長はさらに、「減税は望ましいが、それは持続可能な形での実現になる」とも述べた。

(英語記事 'Work to do' after local election losses - Rishi Sunak

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cmldrjdd2p9o


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