2024年12月22日(日)

都市vs地方 

2024年4月1日

 今年も大学入学の季節がやってきた。この時期、多くの新入生が親元を離れ、大学のある場所へと引っ越していく。

(west/gettyimages)

 こうした大学進学に伴う移動は都道府県間移動の主要な要因として知られてきた。子供の数は減っているものの、大学進学率が上がっているため、大学に行く人の数はさほど減っておらず、過去10年以上60万人を超えた水準で推移している。

 文部科学省の「学校基本調査」は、高校の所在地別に進学先の大学の所在地別進学者数を公表しているが、高校の所在地が分かっているもののうち、出身高校が立地する都道府県の大学に進学する生徒の比率、いわゆる県内進学率は2023年には4割5分程度である。裏返すと、5割5分の生徒は県外に進学するのである。

 このような大学進学に伴う地域間移動の様子がどのように変化してきたのかを、コロナ禍も含めて確認してみたい。なお、利用するデータは全て文部科学省の「学校基本調査」から得たものである。

実は高くなっている県内進学率

 まず、図1は全国の高校から大学への進学者全体の県内進学率を、1980年および最近の年について示したものである。

 80年には県内進学率は38%程度であったのが、19年には44%強まで増加している。また、コロナ禍の21年にも県内進学率は大きく変化せず、23年までほぼ同じ程度であった。

 大学進学に伴う都道府県間移動は過去40年の間にかなり低下しているようである。もっとも、県内進学率は都道府県により大きく異なるため、全国平均で確認できるのはごく大雑把な傾向に過ぎない。

 そこで、都道府県別の県内進学率をみてみよう。表2は都道府県別の県内進学率を、最も高い5つと低い5つについて示している。

 県内進学率は、高いところでは7割に達し、低いところでは2割を下回る。特に80年はその差が大きく、最も高い東京都では76.4%であるのに対し、最も低い滋賀県では7.7%であった。滋賀県では実に9割以上が県外に進学したのである。

 こうした差は最近もさほど縮まらず、23年には最も高い愛知県では72.1%であるのに対して、最も低い奈良県では15%であった。県内進学率が高いのはいわゆる大都市で、低いのは地方である点も時期を問わず共通している。


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