2024年12月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月2日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の3月6日付け社説‘Vietnam is lying to its friends. A secret document proves it.’は、ベトナムは製造業の中国の代替地として位置づけられるとともに、開放路線を進めて各国との関係強化に努めている;世界はそのことがベトナム国内の政治的変化を生むと期待しているが、ベトナムの指導者たちは変化を望んでいない、と批判している。

(melis82/gettyimages)

 ベトナムは、中国の対抗勢力として、また世界の製造業の代替地として自国を位置づけ、新たな外交・経済関係強化を進めている。昨年9月、バイデン大統領のベトナム訪問時、米越関係は格上げされた。

 ベトナムは現在、18の有効または計画中の自由貿易協定を有している。この開放路線が、国際的接触を多くし、権威主義的政権下にある国内政治に変化を生むという期待につながっていた。

 しかし、ベトナムの指導者たちはそうした変化を望んでいない。バイデン氏が到着する2カ月前の7月、ベトナム共産党政治局は、国民に対する厳しい統制を継続しようとして、秘密命令「指令24号」を発出した。この指令のコピーは、ベトナムにおける言論の自由を求める団体Project88によって3月1日に公開された。

 ベトナムは警察国家であり、言論や集会の自由は制限され、反体制派や市民活動家は投獄により処罰されている。新しい指令は、ベトナムの指導者たちがこの方針を維持するつもりであり、外国の影響によってその政策が損なわれることに神経質になっていることを示唆している。この指令は、環太平洋経済連携協定(TPP)のような国際貿易協定が、ベトナム国内での締め付けを緩和させるだろうとの期待を裏切るものだ。


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