「指令24号」では、9つの指令が政府と党に送られた。その中には 、ビジネスや人的交流のために海外に行くベトナム人を「厳重に管理」することが含まれている。
別の指令は、「国内で独立した政治組織の結成を許してはならない」と明示している。独立した労働組合の結成にはさまざまな制限が課されている。
国家安全保障に対する「深刻な脅威を警戒し、防ぐべし」との指令もある。安全保障に対する脅威は「大国のイニシアティブや戦略に参加する際の油断」、外国の投資家が「国内市場や企業を乗っ取り、重要な経済部門を占拠する」ことからもたらされる。
この文書の中で最も重要な指令のひとつは、ベトナムの市民社会グループを法律や政策決定に関与させないようにすることである。新指令は、「市民社会、ネットワーク、独立した労働組合、そして、国内の政治反対グループ等」の出現を許さないよう警告している。さらに、政治団体が国家に対する「カラー革命」や「街頭革命」といった、民主化を求める運動へ人々を動員することがないよう警告している。
「指令24号」によると、報道機関は「ポピュリスト運動、市民的不服従、不当な見解、敵対勢力による妨害行為」と戦わなければならない。さらに、国の習慣や伝統に適合しない外国文化を排除することが求められる。報道機関は「フェイク・ニュースと闘い」、「国家機関、企業、社会、サイバー空間における文明的行動規範を発展させること」も期待されている。
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ベトナムにはある政治的「自由」
米中対立が進行する中で、「政治的安定」と「経済発展」の双方を維持するためのベトナム指導者の「悩み」は深いと思われる。確かに社説が指摘するように、ベトナムにおいて政治的自由が制限されているのは事実であるが、中国とは比較にならないぐらい「緩い」。
また、中国と異なり、ベトナムは国民の意向を政策に反映しようと努めている。例えば、①国連開発計画(UNDP)と共産党の「祖国戦線」は2011年から毎年「住民から見た各地方省の行政管理評価(PAPI)」を住民への対面聞き取り調査を実施して公表している。PAPIは、国民参加の度合い、透明性、国民に対する説明責任、汚職の取り締まりなど8つの指標で評価される。