2024年11月6日(水)

勝負の分かれ目

2024年5月18日

 フィギュアスケート男子で五輪に2大会連続出場した元世界王者の宇野昌磨さんが、21年間の競技生活に終止符を打った。身長157センチと小さな体でコツコツと積み上げた努力で五輪では個人で銀と銅の2つのメダル、団体でも銀を獲得し、世界選手権では2連覇を成し遂げた。

引退会見を行った宇野昌磨。競技人生に「全く未練はない」と語るその表情は晴れやかだ(長田洋平/アフロスポーツ)

 近年のフィギュア男子を人気、実力の両面でけん引してきた26歳は競技から離れても、フィギュアスケートからは退くわけではない。プロスケーターへと転向し、「自分の生き方に合っている」と話す自由なフィールドで表現に磨きをかけて新境地を切り開く。

「次に向かってスケートを頑張ります」

 東京都内で5月14日に開催された記者会見には、大勢の報道陣が集まっただけでなく、所属してきたトヨタ自動車のオウンドメディア「トヨタイムズスポーツ」で午後2時から一般視聴者へ向けてライブ配信も行われた。

 シックなスーツ姿で登場した宇野さんの表情は、底抜けに晴れやかだった。

 「このたび、私は現役フィギュアスケート選手を引退することとなりました。今日まで、応援してくださった皆さんに、とても感謝しています。今後もプロとしてスケートを続けていくことに変わりはないので、引き続き応援してくれるとうれしいです」

 表情が物語るように、引退という言葉が醸し出す悲壮感が漂うような会見ではなく、新たな旅立ちを宣言する明るい場でもあった。

 「引退という場を悲しいというよりも、すごく前向きな気持ちで、まだまだスケートを続けていくつもりで、次に向かってスケートを全力で頑張りますという発表でもあります」

 輝かしい業績を称えるかのように、国際スケート連盟(ISU)会長からもメッセージが届いた。

 宇野さんは、やや照れたような表情を浮かべ、「僕自身は世界を沸かせたとは思っていませんが、たくさんの方々がフィギュアスケートに注目して、僕を応援してくれていました。フィギュアスケートで出会えた全ての人に感謝しています」と感謝の気持ちを述べた。


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