性格は内向きでインドア派
浅田真央さんや安藤美姫さん、鈴木明子さん、村上佳菜子さんら名スケーターを生んだ「フィギュア王国」の名古屋で生まれ育った。5歳の頃、スケートリンクに行ったときはアイスホッケーにも興味があった。
「一緒にフィギュアスケートをやろうよ」と声をかけたのは、若き日の浅田さんだった。これが、宇野さんの人生の大きな転機となった。
自らを「性格は内向きで、インドア派」と分析し、趣味はゲームを好きなだけやることというトップスケーター像からはかけ離れたギャップも宇野さんの魅力の一つだ。
一方、フィギュアスケートのシングルスケーティングはどんなカテゴリーでも、一人で広いリンクの中でプログラムを演じる。
「両親も僕が大勢のお客さんの前で一人で滑るなんてできないと思っていただろうし、僕自身もこんな選手になれるとも、こうやって人前で話せる人間になれるとも思っていませんでした」
しかし、宇野さんには、この広いリンクの中をたった「一人」で滑るというフィギュアスケートの競技特性が合っていた。
「氷上に一人しかいないから、自分がつくる世界や表現を、ちゃんと観てもらえる機会がありました。この場でも、僕がしゃべったことを真摯に聞いて、報道してくれることはすごくありがたいです。自分があまり発信できるタイプじゃないからこそ、(一人で滑って、みんなの視線が集まるフィギュアスケートは)自分の色を出しやすい場といいますが、性に合った環境だったかなと思います」
浅田さんに誘われた飛び込んだフィギュアの世界で、2010年のバンクーバー五輪で日本男子に初のメダル(銅)をもたらした元世界王者の高橋大輔さんの表現力にあこがれた。ゲームがしたくてスケートを頑張っていた少年は、高橋さんのように世界のトップで戦える自分を思い描いて練習に打ち込んでいく。
そして、着実に成長を遂げた。14年12月にジュニアのグランプリ(GP)ファイナルを制すると、15年3月には日本男子5人目となる世界ジュニア王者になった。シニアに転向し、史上初の4回転フリップを成功させ、16年12月には初の全日本王者へと駆け上がった。