2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月7日

ジェレミー・ボウエン国際編集長

パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラム組織ハマスが停戦案の受け入れを6日に発表したことは、戦況を注視している多くの人々を驚かせた。同時に、今後数週間で何が起こるかについて、イスラエルの想定を覆すこととなった。

停戦案については、アメリカが「非常に寛大」だとしていたものの、イスラエルはハマスがこれを拒むだろうと予想していた。イスラエルは夜明けとともに、軍事作戦が間近に迫っているとして、パレスチナ人に対しラファ東部から避難するよう警告した。

アメリカは、民間人の生命を脅かしうる地上作戦をラファで実施することに反対している。イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、他の選択肢はないとアメリカ側に説明。一時停戦と人質解放をめぐる提案をハマスがことごとく拒んだためだとしている。

交渉を仲介するアメリカ、エジプト、カタールは、停戦を求め続けてきた。米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は6日、ハマスの政治指導部が拠点を置くカタールの首都ドーハで、同国首相との会談に多くの時間を費やした。

同日夕方には、ハマスが停戦の受け入れを発表。パレスチナ筋は、ハマスが長期停戦の準備をしている可能性を示唆した。

これに対する、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の最初の公式なコメントは、ハマスが「イスラエルの要求を満たすには程遠い」というものだった。それでも、ネタニヤフ氏は協議のための代表団を派遣した。

ネタニヤフ氏は政治的窮地に置かれている。イスラエルの連立政権は、ユダヤ系の極度のナショナリストらの支持に依存している。それらの人々は、ラファの完全なる占拠を求めており、それが実現しないなら政権を倒すと脅している。停戦はラファ攻撃の中止を意味する。

一方で、イスラエル人の人質の家族や支援者らは、人質を取り戻すために取引に応じるよう政府に求めている。主要道路を封鎖するなどし、デモを繰り広げている。

アメリカも取引を望んでいる。ジョー・バイデン大統領は、イスラエル軍が多大な人数のパレスチナ住民を殺害している中でもイスラエルを支持し続けているが、秋の大統領選挙を前に、政治的支持を失うリスクに直面している。

ハマスはネタニヤフ氏に圧力をかけている。もしバイデン氏がネタニヤフ氏に対し、停戦を受け入れるよう迫れば、ネタニヤフ氏は自らの政権の存続を選ぶか、昨年10月7日のハマスの襲撃以来受けてきた重要なアメリカの支持を選ぶか、決断しなくてはならなくなる。

停戦はまた、ネタニヤフ氏が誓った「完全勝利」をイスラエルが達成しなかったことを意味する。

さらなる交渉と厳しい選択が、この先待ち受けている。

(英語記事 Bowen: Tough choices for Netanyahu after Hamas upends expectations

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c19d2veywmpo


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