2024年10月11日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2024年8月17日

 夏休みシーズンで、今まさにリフレッシュされている人も多いだろう。いつもの生活パターンやルーティンから離れ、自分の生き方をゆっくり考えるヒントになる3冊を選んだ。

(Sensay/gettyimages)

運は呼び込み、使い切るもの

 小売大手ドン・キホーテの創業者である安田隆夫氏が、自らの経験をもとに運とは何かを分析したのが『運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』(安田隆夫著、文芸春秋)。多くの人が、運とは「人智の及ばないもの」と考えがちだが、著者は、中長期的にはコントロール出来るものであり、自ら引き寄せるものだという考え方に立つ。そこが短期的な「ツキ」とは違う部分で、運は総量が決まっているわけではなく、使いきれるかどうかが大きな違いになってくるという。

 著者は運に対する感受性が高いことも重要であると指摘する。自分に流れが来ているときはしっかりと乗り、逆にそうでない時は悪あがきをしたり、他人のせいにしたりするのではなく、タイミングを待つことも重要だと説く。

 著者が見てきたビジネスの成功者の多くは運に対する感受性の達人であるという。著者は「不運の時は下手に悪あがきをせず、幸運が巡ってきたらそれを追い風にして一気に上昇するのが、必勝パターン」と記す。

 さらに著者は本書に示すように、運の使い方の巧者であると自認する。そして運を呼び込むには未来に希望を持つ楽観論者であり、チャレンジを続ける挑戦者であることが重要だと強調する。

 著者が本書で一貫して主張しているのが、運は変えられるという強い信念である。そのためには前向きに挑戦を続けることが重要だと指摘する。

 著者は人生とビジネスはどれだけ得点できるかが重要なのだと説く。スポーツと違って一試合ごとの区切りがあるわけでなく、得点と失点の差で勝負が決まるのであり、どこまでも点の総量(得失点差)を競い合うエンドレスゲームであるという指摘にはうなずかされる。


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