2024年11月22日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2024年8月17日

成功に導く「プラス思考」

 最後に紹介するのは、『強いチームはなぜ「明るい」のか』(吉岡眞司著、幻冬舎)である。昨年甲子園の夏の大会で優勝した慶應義塾高校のチームがなぜ強くなれたのかを例にとりながら、成果をあげているチームが明るい理由を分析した。

 著者のいう「明るい」とは「雰囲気がいい」と同じ意味である。明るいチームは、個々のメンバーがチームにおける自分の役割や立場を自覚し、指示を待つことなく自ら考え主体的に行動していることや、はたから見ると「無理」と思えるようなレベルでもメンバー全員が絶対に実現できると信じていること、仲間がミスしてもなじったり怒ったりすることなく励まし勇気づける言葉をかけている、といった特徴を持っているという。

 これらは、著者が指摘するように、スポーツ分野のみならずビジネス、研究、芸術などすべてにあてはまる。こうした明るさは、心の状態を自らコントロールしてどんな状況でも自らの力を100%発揮できるように努めることで生まれるという。

 本書の「脳をうまく『だます』ことで、マイナスに傾いた心の状態をプラスに引き寄せることができる」という説明は印象的だ。心はプラスとマイナスの両方向に振り子のように行ったり来たりしているが、大事な場面で感情をプラス方向にすることの重要性は多くの人が経験していることでもあり、説得的である。

 普段何気なく発している言葉や動作・表情は無意識のうちに目や耳がキャッチし、脳に届けられ、心の状態に影響を与えるという。さらに脳はプラスよりマイナスなことを優先的に記憶することから、マイナスの方向に心を揺らさないようにするにはポジティブな言葉で脳内にプラスのイメージや感情を呼び起こせばいいと本書は記す。

 さらに、成功すると信じ続けることも大事だという。マイナス思考を意識的にプラスにもっていくことで結果が変わってくるという指摘は、日々の生活で心がけなければいけないなと納得させられる。

 大きな夢を実現するにはスモールステップ(小さな変化)を積み重ねてゆくことが重要で、目標をスモールステップに分解し、それを続けていくことで習慣に変わるという指摘は、世代を問わず人生訓として受け止めることができるだろう。

 以上、自らを見つめなおすために有効な本を紹介した。猛暑の中、冷静な頭で考えをめぐらすと、自分自身の心の中に前向きな解を見つけることができるかもしれない。夏休みをきっかけに人生を前向きモードに変化させたい方にオススメの3冊である。

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