2024年4月20日(土)

中国メディアは何を報じているか

2014年1月7日

 為政者としていかに国民を鼓舞し、リードし、率いていくかは政府指導者にとっては重要な任務であり、とても重要な資質だが、習政権では共産主義体制を改革しながら体制崩壊は避け、旧ソ連の二の舞にはならないように別の方策をとらなければならないという大前提がある。改革を強調しながらも、党による統制を強化して体制瓦解を回避することが最優先の目的だから「中国のゴルバチョフ」と言われるぐらいなら「習沢東」(共産党の権威維持のために毛沢東の功績を強調する習近平を揶揄した言い方)と言われるほうがましなのだろう。

「中国の夢」の重要な柱の一つ 「強軍の夢」

 軍への配慮が示されるもう一つの理由が、習近平政権が主張する「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」の重要な柱の一つが「強軍の夢」だという点であろう。改革や経済発展と、軍事力強化という一見相反すると思われるような二つの目標は中国では矛盾しない二本柱なのだ。一方、日本では最優先事項ではないかと思われるような大気や水質の汚染といった問題は、国防政策に比べ「中華民族の偉大な復興」という大義の前ではわざわざ触れるまでもない、取るに足りない二次的要素といわんばかりである。

 習主席の挨拶は「改革、希望、夢」と国民を鼓舞するものであり、「中国の夢」の一部でもある「強軍の夢」はいささか誇大妄想的でもあるが、同時に兵士への配慮を示さねばならないジレンマも内包する頭痛の種という側面もあるのだ。

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