2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月12日

 中国共産党中央委員会の機関誌「求是」(Qiushi)は、9月24日付で、「紅色文化は中国人の精神的背骨」と題する記事を掲載した、と10月9日付China Updateは述べています。

 すなわち、「紅色文化」とは、中国の全民族を革命、建国、経済改革に導く過程で中国共産党が創り出した「先進的文化」である。紅色文化は、マルクス=レーニン主義に起源を有し、民俗文化を含む伝統的中国文化及び世界的文化を厳選したものである。「求是」によると、「中国共産党と中国人民は、人類の卓越した文化の秀でた継承者であり開発者である。」

 紅色文化の精神はマルクス主義で、紅色文化の目標は、中国式社会主義の実現、すなわち、中国の夢である。紅色文化推進の目的は、次の6点に対抗することである。(1)普遍的価値観の侵入、(2)国家全体に民営化を進める新自由主義、(3)西側の複数政党制をコピーしたような「立憲民主主義」、(4)新たな政治勢力や野党の出現を許す「近代市民社会」の論理、(5)反体制派の知識人に法的基盤と世論での地位を与えてしまう公的知識人の論理、及び(6)共産党の管理原則を否定しかねない報道の自由、である。

 この後、「求是」の記事では、如何に紅色文化を発展させ、そのソフト・パワーを広めるかに関して、幾つかの提案を列挙している、と述べられています。

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 現在の中国が、どこに向かっているのかを示す記事です。民主主義の引き締めを共産党幹部に指令した資料第9号や外国企業への厳しい規制等、習近平体制になってから、政治的にも、経済的にも、中国国民や国際社会が期待する方向とは逆の方に進んでいるように見受けられます。中国の夢は、「反アメリカン・ドリーム」と言っても良いかもしれません。

 9月、国連総会に世界の首脳達が一堂に会する中、習近平総書記は、中国の地方を訪れ、共産党幹部に、「批判」と「自己批判」を徹底するよう、伝統的共産党の講話を行ないました。

 また、薄煕来の控訴審の裁判が行なわれようとしている時に、このような記事が掲載されました。毛沢東生誕120周年を機に、中国国内で復古主義が高まっているようです。


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