2024年9月5日(木)

BBC News

2024年9月5日

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は4日、パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの境界沿いの「フィラデルフィア回廊」と呼ばれる戦略上重要な緩衝地帯について、イスラエル軍がこの場所から撤退することはないと改めて強調した。

ネタニヤフ首相はエルサレムで外国メディアの取材に応じ、イスラム組織ハマスとの戦闘が続くガザでの将来的な恒久的停戦合意の一環として、イスラエル軍の駐留に代わる案を検討することに自分は「オープン」だと述べた。ただ、それが実現するとは思っていないとした。

ネタニヤフ氏は武器や、場合によってはイスラエル人の人質が境界を越えてガザ地区へ秘密裏に運ばれるのを防ぐため、イスラエル軍はガザ南部の緩衝地帯にとどまらなければならないと主張した。

ハマスは声明で、ネタニヤフ氏がフィラデルフィア回廊からの撤退をしないと決めたのは、停戦合意を妨害する試みだとし、今こそイスラエルに圧力をかける時だと付け加えたと、ロイター通信は報じた。

ネタニヤフ氏は先に、恒久的停戦の条件として「フィラデルフィア回廊に抜け穴がつくられない状況」が保証される必要があると述べた。

「紙の上でなく、言葉でなく、スライドではなく、現場で、来る日も来る日も、毎週毎週、毎月毎月、あの場所で起きたことが再発するのを実際に防ぐことができると」誰かが示せるのであれば、「我々はそれ(恒久的停戦)の検討を受け入れる」と、ネタニヤフ氏は述べた。

しかし、こう続けた。「それが実現するとは思わない。(中略)実現するまでは、我々はあの場所にとどまる」。

ネタニヤフ氏は、自国の安全のためにガザに自軍を駐留させれば、「停戦への合意を殺してしまう(台無しにしてしまう)」と言う人たちがいるが、「そのような合意こそが我々を殺すだろう」と述べた。

イスラエル軍は8月31日、ガザ南部ラファの地下トンネルで、ハマスに拘束されていた人質6人の遺体を発見したと発表した。

その後ネタニヤフ氏は、さらなる譲歩は「ばかげていて」「不道徳で」「常軌を逸している」と主張。「我々にはレッドライン(越えてはならない一線)がある。それに変わりはない。我々はそれを守っていく」とした。

国防相を含むイスラエルの安全保障の責任者たちは、ガザ境界地帯の活動をテクノロジーを使って監視したり、友好国の部隊を駐留させたりするなど、自軍の駐留に代わる選択肢を支持していると広く報じられている。

イスラエルメディアにリークされた情報によると、ネタニヤフ氏と国防責任者らは会議で口論になったとされる。ネタニヤフ氏はハマスとの取引をまったく望んでいないのだと非難されたと報じられている。

イスラエル国内では、ネタニヤフ氏の本当の目的は戦争を終わらせる前にハマスのヤヒヤ・シンワル最高指導者を見つけ出して殺害することで、そのために時間稼ぎをしているとの見方が強まっているとみられる。

一方のネタニヤフ氏は、国際社会からのとてつもない圧力を受けながら、イスラエルの安全を守っていると主張。合意を妨害しているのはハマスの方だとしている。

恒久的停戦に関する協議は、イスラエルとハマスがジョー・バイデン米大統領が提示した3段階からなる停戦案の中の、第1段階を実施することに合意して初めて開始される。

第1段階では6週間の停戦と、イスラエル人の人質の一部(女性、高齢者、病人や負傷者を含む)の解放、パレスチナ人の囚人の一部を釈放する。イスラエル軍が「ガザのすべての人口密集地域から」撤退し、人道支援を「急増」させることも含まれる。

イスラエルのラジオ局は匿名の高官の話として、対外情報機関モサドのデイヴィッド・バルネア長官が交渉の仲介役に対し、停戦プロセスの後期段階でガザ境界からイスラエル軍を撤退させるということにイスラエルが合意したと伝えたと報じた。

ただ、解決しなければならない問題が多く残っており、第1段階について合意することさえ難しい状況となっている。

(英語記事 Netanyahu doubles down on control of Gaza's border with Egypt

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cpdl7l6xv99o


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