2024年9月5日(木)

BBC News

2024年9月5日

ウクライナのドミトロ・クレバ外相が辞表を提出したことが4日、明らかになった。同国では前日にも複数の閣僚らが辞任するなど、内閣改造が進められている。兵器製造を担当する戦略産業相など、政府の要職の一部は空席となっている。こうしたなか、4日には西部リヴィウでロシアの攻撃があり、母子4人を含む7人が殺害された。

与党「国民の奉仕者」の議会トップのダヴィド・アラハミア氏は、週内に大規模な内閣改造があるとし、閣僚の半分が交代するとの見通しをテレグラムで明らかにした。また、新閣僚らが5日に任命されるとした。

辞任する閣僚の中で最重要ポストの外相に就いているクレバ氏は、2020年3月からその職を務めてきた。

今回の動きについてインナ・ソヴスン議員は、クレバ氏とウォロディミル・ゼレンスキー大統領との間に意見の相違があるとは認識していないとBBCに話した。その上で、戒厳令によって議会選挙や大統領選挙が停止されている以上、「政府に新たな人や考えをもたらす最善の方法は内閣改造であり、いままさにそれが必要とされている」と述べた。

3日に辞表を提出したのは、アレクサンドル・カミシン戦略産業相、デニス・マリウスカ法相、ルスラン・ストリレツ環境保護相、オルハ・ステファニシナ副首相、イリナ・ヴェレシュチュク副首相、ウクライナ国有財産基金のヴィタリイ・コヴァル代表ら。

ゼレンスキー大統領の最側近の1人のロスティスラフ・シュルマ氏も、大統領によって解任された。

ゼレンスキー氏は3日夜のビデオ演説で、国家機関は「ウクライナが必要としているすべての結果を達成できるように構成されるべきだ」と主張。「そのためには政府の一部を強化しなくてはならず、構成メンバーの変更が準備されている。大統領府でも変更がある」と述べた。

野党のイリーナ・ゲラシチェンコ議員は、今回の内閣改造について、「大臣のいない政府だ。単独過半数の政党がない議会だ。知性と人事の危機なのに当局は見て見ぬふりをしている」と批判。統一政権の樹立と、ゼレンスキー政権の幕引きを求めた。

ゼレンスキー氏は、2022年2月にロシアによる本格侵攻が始まって以来、たびたび政府要職の顔ぶれを刷新してきた。昨年9月には一連の汚職スキャンダルを受けてオレクシー・レズニコウ国防相を解任。今年2月にも軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官を解任した

閣僚の辞任や解任を受けて現在、インフラや農業の担当など少なくとも五つの閣僚ポストが空席のままになっている。

ゼレンスキー氏の1期目の大統領任期は今年5月までだったが、戒厳令により、現在もその地位にある。

西部リヴィウへの攻撃で7人死亡

今回の内閣改造は、ウクライナの都市部でロシアによる攻撃が続くなか、実施される。

3日には中部ポルタヴァが爆撃を受け、53人が殺害され、271人が負傷した。

4日は、西部リヴィウが攻撃され、母子4人や赤ちゃん、少女を含む7人が殺された。首都キーウの上空でも、ロシアのミサイルを狙う防空システムの爆発音が聞こえた。クリヴィー・リフではホテルや集合住宅が攻撃され、5人がけがを負った。この日はウクライナ全土で空襲警報が出された。

ロシア国防省は、リヴィウにあるウクライナの防衛産業施設に向けて極超音速ミサイル「キンジャール」を発射し、すべての標的に命中させたと発表した。

一方、リヴィウのアンドリイ・サドヴィ市長は、市中心部の住宅、学校、診療所など50以上の建物が被害を受けたと説明。ソーシャルメディアに、市内の家族5人の写真を投稿し、父親を除く4人が自宅で死亡したとした。

(英語記事 Ukraine's foreign minister resigns as government reshuffle expectedMother and daughters killed in new wave of strikes on Ukraine

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ced1j01yw4wo


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