2024年12月20日(金)

商いのレッスン

2024年8月24日

<今月のお悩み>
歴史的な円安の影響で商品の値上げはやむを得ません。
顧客に納得してもらうために何をすべきですか?

 会社で働く人が受け取る名目賃金から、物価変動による影響を除外した賃金の動きを見る指標「実質賃金」。厚生労働省は前年同月比の増減率を毎月公表しているが、7月には26カ月連続マイナスとなる過去最長を記録。インフレ率に賃金の伸びが届かない状況が続いている。

(ロイター/アフロ)

 背景にあるのは、原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービス、電気・ガスなど、幅広い分野で止まらない値上げである。メディアが相次ぐ「値上げラッシュ」をひっきりなしに伝えているのはご存じの通りだ。

 こうした報道の多くは売価を改定したケースだが、実は値上げにはもう1種類ある。価格は変わらないが内容量を減らすシュリンクフレーションであり、「実質値上げ」「ステルス値上げ」と呼ばれる。

 ある飲料メーカーの例である。同社は定番商品の容器を変更すると同時に、内容量を1000から900ミリリットルに減量。新容器によっておいしさと利便性が向上したとうたった。

 従来品に比べ横幅が約5ミリメートル小さくなるから「手が小さいお子さまや握力が弱い高齢者でも持ちやすい」、従来品に比べ筋肉への負担が1割軽減されるので「(従来品より)楽に注ぐことができる」とは同社のプレスリリースの弁。こじつけに感じられるのは筆者だけではないだろう。

 企業が値上げをするのは事業継続が可能な利益を確保するためであり、否定されるべきものではない。しかし、どのように消費者の理解を得ようと努めるかに、その企業の本質が現れる。


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