2024年12月21日(土)

商いのレッスン

2024年8月24日

値上げは愛

 2022年4月1日、1979年発売開始以来、42年間も価格を維持してきた国民的駄菓子「うまい棒」の定価が10円から12円に引き上げられた。

 うまい棒を手掛けているのは、60年創業のやおきん(東京都墨田区)。「キャベツ太郎」や「蒲焼さん太郎」など、子どもの頃に誰もが親しんできた駄菓子をつくってきた。

 値上げ額はたかが2円。同社によると15円、20円という新価格も検討されたという。しかし、20円にすれば、子どもがお小遣いの100円を握りしめて駄菓子屋に行き、今まで10本買えたものが半分の5本になってしまう。「されど2円」なのである。

 同社には、子どもには限られたお小遣いの中でさまざまな商品を手にとり、あれやこれやと金額や食べ合わせを考えながら選ぶ楽しさを感じてもらいたい、という顧客への愛があった。

 そのとき同社が出した「なくなっちゃうほうが、悲しいから。」と大書された新聞広告が大きな反響を呼んだ。そこにはこう書かれていた。

 「未来の子どもたちにも、これからも駄菓子のおいしさと楽しさを届けていくために。ちゃんと利益を出すことで、駄菓子文化の存続と発展に努めていきたい」

 値上げを恐れることはない。ただし、そこにはお客様への愛情に裏打ちされた企業努力と、顧客理解への取り組みが欠かせない。

【商いの言葉】
常にお客様の利益を守り かつ己の利益も外さない
正しい利益を生み出す 不退転の売価を付けよう
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Wedge 2024年9月号より
エネルギー確保は総力戦 日本の現実解を示そう
エネルギー確保は総力戦 日本の現実解を示そう

ロシア・ウクライナ戦争の長期化により、世界的潮流であった「脱炭素」の推進に〝黄信号〟が灯り始めている。 各国ともに自国のエネルギー確保に奔走しているが、なかでも脱炭素社会の実現を主導して進めようとしていた欧州は、侵攻後、世界中から液化天然ガス(LNG)をかき集め、それによりガス・LNGの価格は一気に高騰した。 影響を受けたのは、化石燃料依存度の高いグローバルサウスなどの国々である。「なりふり構わず」の姿勢から、欧州が掲げた脱炭素という〝美しい理念〟とはいったい何だったのか、疑問に感じる読者も多いだろう。 そうした状況にあっても、資源小国日本の危機感は薄く、国のエネルギー政策は迷走を続けている――


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