2024年9月13日(金)

BBC News

2024年9月13日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12日、西側のミサイルがロシアに撃ち込まれれば、ウクライナとの戦争の深刻な拡大とみなすと述べた。これを受け、イギリスのキア・スターマー首相は、戦争を「始めた」のはロシアであり、「直ちに」終わらせることもできるはずだと述べた。

西側が供与した長距離ミサイルをウクライナがロシア国内への攻撃に使うことをめぐっては、ウクライナを支援する国々が許可を協議している。

スターマー首相は13日に米ワシントンでジョー・バイデン米大統領と会談する予定。この問題が話し合われる可能性もある。

「紛争の本質を変える」とプーチン氏

プーチン大統領の発言は、ロシア国営テレビが報じた。大統領は、西側のミサイルがロシアを攻撃すれば、「ウクライナでの戦争にNATO(北大西洋条約機構)の国々、アメリカや欧米諸国が、直接参加したということにほかならない」、「直接の参加だ。もちろんこれは、紛争の本質、性質を大きく変えるものだ」と述べた。

そして、「その場合、もたらされる脅威に基づいて、私たちは対応を決める」と付け加えた。

プーチン氏はまた、「ウクライナがロシア領土を攻撃するのを許可したり禁止したりするという問題ではない。ウクライナはすでにドローン(無人機)などで攻撃をしている」と主張。次のように続けた。

「だが、西側製の高精度長距離兵器を使うとなると、まったく別問題だ。(中略)ウクライナ軍は、最新の高精度長距離システムを使った攻撃はできない。不可能だ。ウクライナが持っていない衛星からの情報データを使って初めて、それが可能になる。そのデータは、欧州連合(EU)やアメリカ、NATOの衛星だけが得られるものだ」

「NATO諸国の軍人しか、これらのミサイルシステムに飛行任務を入力できない。それが重要な点だ。ウクライナの軍人がこれをしてはならない。したがって、これらの兵器でロシアを攻撃することを、ウクライナの政権に許可するとかしないとかの問題ではない」

「これは、NATO諸国が軍事紛争に直接参加するという決断をするかどうかということだ」

「始めたのはロシア」とスターマー氏

スターマー首相はワシントンに向かう機内で、プーチン氏の発言について記者団に問われると、「この紛争を始めたのはロシアだ」と強調。「ロシアがウクライナを不法に侵略した。ロシアはこの紛争を直ちに終わらせることができる」と述べた。

その後も、「繰り返すが、そもそもこれを始めたのはロシアだ。ロシアが紛争を引き起こした。不法行為をしているのはロシアだ」と主張した。

ウクライナが西側製ミサイルをロシア国内に発射することをめぐっては、西側諸国が長期間、消極姿勢を示してきた。挑発的とみなされ、欧米諸国などを直接紛争に引きずり込む恐れがあると考えてきたからだった。

しかし、冬が近づき、ロシアがイランから追加支援を受けているとの指摘も出るなか、西側は考えを変えつつあるとみられている。

スターマー氏は記者団に、「今後数週間から数カ月の間に、ウクライナと中東の両方で、非常に重要な展開がありそうだ。いくつかの戦術的決断がなされることになるだろう」と述べた。

イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は11日、BBCのインタビューに応じ、ロシアにイラン製ミサイルが供給されていると指摘。そのことで、ウクライナによる西側供与の長距離ミサイル使用をめぐる「議論が明確に変わる」と述べた

首相就任後2回目の訪米

スターマー氏の訪米はここ2カ月余りで2回目。総選挙に勝利した直後の7月にも、NATO首脳会議と米大統領との首脳会談のためにワシントンを訪れている

今回の訪米中、民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領に会う予定はないとしている。アメリカへの機内でその点について記者団に問われると、スターマー氏は「みなさん知ってのとおり、彼女はワシントンではなく激戦州にいるはずだ。(中略)結構なことだ」と話した。

スターマー氏はワシントンから14日に帰国の予定で、翌15日にはイタリアを訪れ、ジョルジャ・メローニ首相と会談する。イタリアは現在、先進7カ国(G7)の議長国。翌週には国連総会が米ニューヨークで開催される。

(英語記事 Russia can end war now, says PM as Putin warns West

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3ejewpe8w3o


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