2024年9月13日(金)

WEDGE REPORT

2024年9月13日

 100年ぶりにパリでオリンピックが開かれた翌9月初め、ドイツでは創設100年を祝う欧州最大の家電見本市「IFA」がベルリンで開かれた。IFAはドイツ語の「国際ラジオ展示会」の頭文字で、かつてはアインシュタイン博士が基調講演を務めた世界最古の家電見本市だ。長らく日本と韓国の家電メーカーがその主役を務めてきたが、コロナ禍が終わった今、見本市会場からは日本企業の姿はほぼ消え、代わりに台頭していたのは中国やトルコの家電メーカーだった。世界の家電産業の変貌ぶりを現地で実感した。

ベルリンで開催された「IFA」の会場(筆者撮影)

世界最古の家電見本市「IFA」
が生誕100年を祝う

リントナーCEO(筆者撮影)

 「世界最古の家電見本市の生誕100年を皆さんと盛大に祝いたい」。こう言って見本市の開幕を宣言したのはIFAの運営会社、IFAマネジメントのライフ・リントナー最高経営責任者(CEO)だ。以前は見本市の会場施設を保有するメッセ・ベルリンが企画・運営していたが、コロナ禍を機に専門の運営会社に任され、IFAの頭文字も創設100年を機に「Innovation for All」という意味に読み替えられた。

 今回の出展者数は約1800社・団体とコロナ前の水準には届かなかったが、人気歌手のブライアン・アダムスを野外コンサートに招くなど、新たに文化イベントとしての色彩も打ち出したことから、家電製品のバイヤーや小売関係者だけでなく、家族連れや若い人なども来場し、会場は多くの人でにぎわった。

 創設100年ということで会場の北玄関にあたる大きな建物には、レーザー光で描かれたアインシュタイン博士の肖像や、洗濯機、冷蔵庫、蓄音機、ラジオ、テレビといった家電製品の初号機などが主催者により展示され、来場者の関心を呼んだ。その多くは地元ドイツのメーカーが開発した製品が中心だったが、オーディオ機器ではソニーのウォークマンやアイワのラジカセ、ビデオ機器ではJVC(日本ビクター)のVTRやソニーのビデオカメラ、ゲーム機器では任天堂のゲームボーイなどが飾られ、家電市場をリードした日本企業の足跡がしっかりと展示されていたのは日本人として喜ばしかった。


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