2024年11月23日(土)

Wedge REPORT

2024年3月27日

 今年2月に発売された、パナソニックの紙パック式コードレスクリーナー「MC−PB60J」のボディは、再生プラスチック85%、リサイクル紙パウダー10%、添加剤5%で作られている。リサイクル材比率95%、色がアイボリーなのは、もっとすごい。再生プラ使用家電としては、今までにないレベルに達している。

破砕後、混合した状態でグリーンサイクルシステムズに運ばれてきたプラスチック(WEDGE)

 何がそんなにすごいのか─。再生プラの原料の廃家電には、さまざまな色がある。顔料とプラスチックを分離する形での再生プラ化はしていないため、基本的には、再生プラの色は合わせにくい。そのため、多少色が合っていなくても問題ない冷蔵庫の内部パーツなどに使用されることが多かった。

 パナソニックの新製品は、こうした課題を大きく乗り越えてきたといえる。「リサイクル紙パウダーは、再生プラペレットよりも扱いが難しく、耐久性や色味という点ではむしろマイナスに働く。ただし、今回は剛性と耐衝撃性の両立、変色や黒点の発生を抑える加工などを開発して、生産現場で確立した結果、実現することができた」(同社広報)という。

 2001年に施行された「特定家庭用機器再商品化法」(以下、家電リサイクル法)。「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」を対象に、ユーザーが廃棄時にリサイクル料金を支払い、小売業者には廃家電を引き取り製造業者などに引き渡す義務、製造業者などには廃家電を引き取り再商品化など(製品の部品または原材料としての利用または熱回収)を実施する義務がそれぞれ課されている。

 下図にある通り、エアコンの回収率が低いのは、熱伝導を上げるために銅などの金属が使われており、リサイクルした時の利益が高く、無許可業者に渡ることが多いことなどが挙げられる。

 家電はさまざまな素材でできているが、プラスチックは3〜5割ほど使われる。そして、使われているプラスチックの7〜8割は、PP(ポリプロピレン)とPS(ポリスチレン)、そしてABS(アクリロニトリル〈A〉、ブタジエン〈B〉、スチレン〈S〉という3種類のモノマーから構成される熱可塑性樹脂で、頭文字をとり「エービーエス」と呼ばれる)という3種類の樹脂だ。この3つの樹脂を選別すると、8割リサイクルができる。


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