2024年11月23日(土)

Wedge REPORT

2024年3月27日

 「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(以下、小型家電リサイクル法)は、家電リサイクル法に続いて、13年に施行された。対象は携帯電話、デジカメ、パソコン、炊飯器、ドライヤーなど28品目と多岐にわたる。自治体、国の認定を受けた事業者などの関係主体が連携し、広域的・効率的な回収とリサイクルを促進する法律だ。例えば、回収方法については、回収ボックス、ごみステーションでの分別回収、清掃工場などでの選別(ピックアップ)、イベント回収などの方法があり、地域の実情に応じ、消費者にとって利便性の高い回収方法を導入することが求められる。

 国は23年度までに年間回収量14万トンとする目標を掲げているが、20年度の回収実績は10万トン程度にとどまっている。家電リサイクル法では対象家電の回収を義務づけているのに対して、多岐にわたる小型家電の広域的・効率的な回収を一層促進するための打開策が求められる。

自然に還る
プラスチックとは

パナソニックの紙パック式コードレスクリーナー「MC-PB60J」(PANASONIC)

 「石油をこれ以上使わず、地上にある植物からプラスチックに代わる素材をつくる」と話すのは、パナソニックホールディングス・シニアエンジニアの豊田慶氏。植物由来のセルロースファイバー(CeF)を高濃度で樹脂に複合する技術を開発した。CeFを55%以上複合した成形材料を「kinari(キナリ)」と名付けてブランド化。18年には、これを自社製のコードレススティック掃除機の本体の一部材料として使用した。

 そもそも、プラスチックを形成する共重合(2種類以上の分子を結合させる)は、とても強固で、地球がもつ生態リサイクルが効かない物質だ。なぜ、プラスチックが地球で循環できないのかというと、「できたばっかり」だからだ。プラスチックを分解するところまで微生物が進化できる時間が経っていないのだ。

 またパナソニックHDは、完全生分解性のセルロースファイバーの成形材料を開発し、微生物が分解できるプラスチックの開発も進めている。こちらの実際の商品への導入は、まだ先だが、自然に還るプラスチックの利用を実現することができれば、海洋に含まれる「マイクロプラスチック」の増加を抑制するなどして環境問題の解決に向けて大きな前進となり、久方ぶりに世界市場に向けて日本の家電メーカーの存在感を誇示することができるはずだ。

 ただ、そのための受け皿となる回収という社会システムはすこぶる重要。読者もぜひ協力してほしい。

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