新しくなったエアコンの「省エネラベル」
2022年10月から進められていたエアコンの「省エネラベル」の切り替えが、23年9月で終了した。「照明器具」「電気冷蔵庫」「電気冷凍庫」「電気便座」「テレビ」「ガス温水機器」「石油温水機器」「エコキュート」と同じ、多段階評価点方式に変わったのだ。
取り上げられている家電は、どれも長時間使われ、電気代負担の大きな要因になるものばかり。当然、ユーザーにより分かりやすく、省エネレベルを伝えるために、今まで行っていた(業界都合の)小分類ごとの省エネ評価は撤廃した。
エアコンは、通常仕様、寒冷地仕様の二つのみに分け、APF(通年エネルギー消費効率:年間を通してある一定条件をもとにエアコンを使用したとき、1年間に必要な冷暖房能力を、1年間でエアコンが消費する電力量(期間消費電力量)で除した数値。大きい方が、省エネエアコン)で、一元評価される。このため今まで小分類では、それなりに高い評価を得るのが、全体だと、そんなレベルだったのかと、井の中の蛙のように感じられるモデルでもある。
加えて、期間消費電力量(kWh)に、電気代単価(27円/kWh)を掛けた年間の目安電気料金も掲載されている。
ただし単価は、21年度(この方式が導入されはじめた時の電気代単価)のものであり、その後、狂騒的に上がった今年の「年35円/kWh」という価格は反映されていない。必要な人は、比例計算する必要がある。
加えていうと、記載されている電気代は東京での数値。地域の人は、自分が住むエリアの地域係数を掛ける必要がある。札幌で、地域係数:3.1、盛岡:2.4、松本:2.1で、東京より寒いとされる北海道、東北、上越、長野などは、地域係数が高い。面白いのは九州の鹿児島:0.9。実は太平洋側は、九州から東京まであまり変わらない。地球温暖化のせいかもしれない。
APFは同様にトップランナー制度(省エネ法)にも使用される。トップランナー制度というのは、その時点で最もAPFが高い製品をトップランナーに定め、目標年度までにそれを抜くことを義務付けた制度で、省エネラベルには「目標年度××年度」と明記されている。
曲がり角に差し掛かった省エネ技術
さて今、エアコンは、省エネ技術の一つ、円筒状のラインファンの周りを熱交換器で覆うことが終了した。ほとんどのエアコンが、昭和のスリムな形状でなく、かなり部屋の中に突き出た形になっている。その次の省エネ技術、自動フィルター掃除もめぼしい機種には搭載された状態だ。
私が知る限り、物理的にできることはほぼ終了している。ラインファンではなく、扇風機と同じ効率の良いプロペラファンを搭載するという手もあるが、筐体を今以上に大きくする必要があり、かなり思い切らないと採用できない。次の一手をどうするのかを悩んでいる状態と言える。