米共和党超保守派で知られるシンクタンクの過激政策提言が、大統領選でハリス陣営にとっての格好の攻撃材料となっている。トランプ候補自身が間を置かず「知らぬ存ぜぬ」を決め込むなど、火消しに躍起となっている。
民主党全国大会で繰り返し取り上げ
「皆さん、トランプ候補はわが国の民主主義を根本から否定するこんな危険な政策を推進しようとしています」――。
カマラ・ハリス、ティム・ウォルズ正副大統領候補が指名受諾演説を行った先の民主党全国大会(8月19~23日)では、有力民主党議員の何人かが会場を埋め尽くした5万人近くの党員を前に、この日のために特別に拡大コピーしたズシリと重い表題『Project 2025』の報告書を抱えて次々に登壇。繰り返しトランプ糾弾の演説を行い、話題をさらった。
全文920ページからなる問題の報告書は、トランプ氏と近い関係にあるシンクタンク「ヘリテージ財団」(本部ワシントン)が「次期共和党政権の青写真」と銘打ち、昨年4月に刊行し、「トランプ次期政権」を担う側近、関係者を中心にコピーが回覧されてきた。
しかし、今年7月2日、同プロジェクトの総指揮を執るケビン・ロバーツ財団理事長が報告書に言及する中で、「我々はいま、第二次米国革命(the Second American Revolution) に着手しようとしている。革命は左翼がそれを容認する限りにおいて無血で成し遂げられるだろう」とあたかも武力革命を示唆するかのような発言をしたことをきっかけとして、全米マスコミの間でハチの巣をつついたような騒ぎとなった。
この事態にあわてたトランプ候補は、今後の選挙戦への影響を警戒し、直後の5日には、自ら設営するSNS「True Social」を通じ、「自分は何のかかわりもない」「報告書の中身の多くは自分の考えと相いれない」などとコメント。プロジェクトとの関係打ち消しに翻弄されてきた。