2024年10月10日(木)

Wedge REPORT

2024年9月12日

 日本林業の活性化策の一つとして、木材輸出が推されている。国内は人口減少もあって木材需要の伸びが期待できないため、海外に輸出することで補おうというのだ。

 政府も近年は農林水産物の輸出に力を入れてきた。2023年実績では、輸出額が過去最高の1兆4547億円となり、前年比で2.9%増。ただ内訳は農産物が9064億円と圧倒的で、林産物は621億円にすぎない。農産物にしても、金額が大きいのはアルコール飲料や調味料類なので、明快に輸出が日本の農業に寄与しているとは言い難いのだが……。

世界に誇れる日本の木工技術が林業再生へと導き得る(Akarawut Lohacharoenvanich/gettyimages)

 林産物輸出も4割近くが丸太で、しかも使い道は土木資材や梱包材といった安価な用途が多い。また合板の輸出先は主にフィリピンで、現地で住宅資材用に加工してから日本に再び送り返しており、利益が十分に山元に還元される構造にない。このように輸出の中身を分析すると残念な結果になってしまう。

 その中で目立つのが木製家具だ。23年は73.4億円と林産物輸出額の約12%を占める。

 日本の林産物輸出額統計のグラフを見ていただきたい。20年に木製家具が突然40億円カウントされて以降は右肩上がりに急成長している。19年以前は林産物に木製家具を含めていないため統計に出なかった。ただ10年の家具輸出額は15億円程度だったから、13年間で約4.9倍に増えたのは間違いない。

林産物に関するマンスリーレポート35号(林野庁)より 写真を拡大

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