2024年9月12日(木)

Wedge REPORT

2024年9月12日

洋風の高級家具になり得る日本の木工技術

 日本の家具輸出は、あまり意識されていないだろう。むしろ輸入するイメージが強いのではないか。事実、身近な家具では中国製やベトナム製がよく目につく。一方で高級家具と言えばアンティークなども含めてヨーロッパ製が圧倒的だろう。

 日本に高級家具をつくる伝統はあるのかと疑問を持つかもしれない。ところが木工研究者に聞くと、「日本は木工王国」なのだそうだ。減少傾向とはいえ、全国に多数の木工家がいる。またアマチュアを含めて木工ファンが多いことも世界的に群を抜いているそうだ。実際に木工イベントには希望者が殺到する。もともと宮大工の木組みや建具に施された緻密な細工など木工技術は高く、それを洋風家具の製造にも活かせるというのだ。

 たとえば伝統的な組子を使った家具やインテリアは、世界的に人気を呼んでいる。とくにJR九州の特急「ななつ星」の車内インテリアが人々の目に止まり称賛を得た。

クルーズトレイン「ななつ星」には、組子細工がふんだんに使われた(JR九州ホームページより)

 問題は、日本の家具が品質的に優れていても、欧米の高級家具のようなブランド力がないこと。デザインも認められてこなかった。

 そのため欧米の最上級ブランドの価格帯と比べると、ワンランク下の扱いだった。また国内の家具需要も安きに流れ、高級家具の売行きは芳しくなかった。

海外に進出する日本メーカー

 だが、このところ日本の家具の海外輸出に取り組む家具会社や工房が次々と現れた。

 先陣を切るのは、広島県のマルニ木工が手がける「HIROSHIMA」シリーズだろう。約30カ国に輸出して日本を代表する家具となった。シンガポールのラッフルズホテルやアップル本社にも椅子が採用されて知られるようになった。この会社が高級家具の輸出に挑戦し始めたのは2000年代に入ってからだが、現在は海外販路を開拓するためのブランディング会社まで立ち上げている。

 また佐賀県のレグナテックと平田椅子製作所も両社で家具ブランド「ARIAKE」を発表して海外輸出に力を入れている。ヨーロッパ、北米、豪州などで広く販売されている。すでに日本よりも海外で多く流通しているという。


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