これまでの林業は、柱や板など建築材を供給しているイメージが強かった。また昨今は、合板やバイオマス燃料といった安価な用途ばかりが膨らんでいる。だから木材生産量や木材自給率が高まったと喧伝されても、山主への利益還元は縮小の一途で、むしろ山側の疲弊が目立つ。それが林業経営の意欲を減退させ、森林の放置を進めてしまった。
全世界での輸出入は年間約4兆円
めざすべきは量よりも質と利益率の高い商品だろう。それに向くのは、建築構造材よりも家具などの木工品ではないか。潜在的な需要も大きい。
全世界で輸出入される木製家具は、年間約4兆円に達する。また木工用木材は建築材と違って短くても使えるうえ、放置された雑木林の中にも大径木が眠っている。それだけに高級な木工製品の生産と輸出は、一筋の光明になり得るだろう。
もちろん、広葉樹材の安定供給や乾燥技術の確立、職人の技術とデザイン力を高める努力も必要だ。また販売ルートの開拓など厳しい条件も多い。これらの課題は、個人や民間会社だけに任せず業界上げて取り組むべきだ。
日本の林業の復活を願うのなら、優秀な木工職人とともに日本の木工品の魅力を世界に発信してはどうだろうか。