2026年7月28日(火)

台湾「麗しの島」の実像

2026年7月28日

 「台湾版シリコンバレー」と称される新竹科学園区(新竹サイエンスパーク)。台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、聯発科技(メディアテック)、聯華電子(UMC)など世界有数の半導体・IT企業が本社や研究開発拠点、生産拠点を構える、台湾半導体産業の中枢だ。総敷地面積1471ヘクタールの園区には600社以上の企業が集積し、約17万人が働いている。

昼間の道は静かだったが、夕方になると帰宅する人たちで大渋滞が起きていた(WEDGE)

 小誌取材班は、台湾の競争力の源泉を探るため、新竹科学園区を訪ねることにした。

 台北駅から特急「自強」に揺られること約1時間。台湾北西部の都市・新竹に着き、駅から車で10分ほど走ると、その姿が現れる。園区の入り口には入場管理ゲートが残るが、タクシーの運転手によれば、企業の出入りが増えたことで、かつてのような厳しい入場管理は行われなくなったという。平日の昼間、工場が立ち並ぶエリアの人影は思いのほか少ない。その一方で、工場の前には無数のバイクが並び、この地で働く人の多さを物語っていた。

 まず訪れたのは高速道路の出口からほど近い新竹科学園区管理局。同局副局長の游静秋氏に新竹科学園区の設立経緯と同局の役割を伺った。

 新竹科学園区が設立されたのは1980年。当時の台湾は労働集約型産業から知識集約型産業への転換を目指しており、政府は米シリコンバレーを参考にサイエンスパーク構想を進めた。その候補地となったのが、新竹である。工業技術研究院(ITRI)や国立清華大学、国立交通大学(現・国立陽明交通大学)が集積していたことが決め手となった。運営管理局は企業の誘致や、労働環境を含めたインフラ整備を担う。

 游氏は「外から見ると、サイエンスパークは製造業のための場所と思われるかもしれませんが、それは少し違います。ここでは人材と技術の研究開発を最も重要視しています」と語る。大学と企業の連携を強化することも重要な役割だ。実際、入居要件として一定割合以上の研究開発(R&D)人材やR&D投資を求めるなど、単なる生産拠点ではなく、研究開発を担う企業を集積する仕組みにしている。企業と大学・研究機関による共同研究を支援する助成制度も設けられており、大学との共同研究では大学院生が研究プロジェクトに参加するケースも多い。結果として、学生は在学中から企業の研究開発に携わり、企業側は将来の人材を確保できるというわけだ。

 人材の供給源として、大学がカギになっていることが分かった我々は次にその現場に行くことにした。


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