米中央情報局（CIA）の元職員が11日、中国政府のためにスパイ活動をしたとして、米ハワイ州の裁判所で禁錮10年の刑を言い渡された。量刑は司法取引を受けたもので、服役後は5年間、監視下に置かれることになっている。
アレクサンダー・ユク・チン・マー被告（71）は2020年8月、アメリカの機密情報を中国に売り渡したと米連邦捜査局（FBI）の覆面捜査官に話し、逮捕された。
マー被告は香港生まれでアメリカに帰化。1982～1989年にCIAで勤務した。その後、FBIでも仕事をした。
被告は司法取引に応じた。条件として、「米政府機関による聴取に応じるなど、生涯にわたって」検察当局に協力することが定められている。
11日の判決公判では、米政府側がマー被告について、協力的であり、すでに「政府捜査官らとの複数回の面談」に応じていると述べた。
当局によると、マー被告はCIA職員だった親戚と協力し、上海市国家安全局が雇った情報員に、機密情報を提供した。
連邦検察によると、香港であった会合の一つは録画され、その中で被告は、機密情報の対価である現金5万ドル（約710万円）を数えている。
被告はハワイで暮らしていた2004年に、契約の言語専門家としてFBIホノルル支局で仕事に就いた。
検察は11日、この時すでにFBIは、被告のスパイ活動に気づいており、「活動や接触相手を監視・捜査する策略の一環としてマーを雇った」と明らかにした。
AP通信によると、氏名が明らかにされていない協力者は、被告のきょうだいだった。起訴される前に死亡したという。
FBIホノルル支局のスティーヴン・メリル主任特別捜査官は声明で、「この事件を、同じことをしようと考えている者へのメッセージにしたい」、「どれだけ時間がかかろうとも、どれだけ時間が経過しようとも、あなたは裁かれる」とした。
