2024年は1月に能登半島でМ7.6、最大震度7の地震が発生しました。8月にも日向灘を震源とした地震が発生し、気象庁では『南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)』を呼びかけるなど、地震災害が続きました。
また、9月は台風の被害が多い時期です。自然災害に対してどのような行動をとればいいか、日頃からのイメージや備えが重要になっていきます。さまざまな国内の問題を提起する人気記事の中から、<災害対策>をテーマにした5本を編集部が厳選してお届けします。
<目次>
1:<水没危険性や土砂災害警戒区域が未記載のケースも>ハザードマップと地価 水害の危険性とどう向き合うか(2023年12月18日)
2:【都道府県別データ】過去5年間の「自然災害」被害状況 地域の災害傾向と実態を知ろう(2023年2月19日)
3:<SNSの普及で何が変わったのか>能登半島地震が明らかにした通信社会の弱点と報道メディアの役割(2024年1月10日)
4:<命を行政に委ねてはいけない>災害大国に必要なのは行政依存ではなく住民の主体的な防災姿勢(2021年3月3日)
5:<毎年のように首都圏を直撃する大型台風>予測しておくべき被害パターンと危機管理とは(2019年10月11日)
1:<水没危険性や土砂災害警戒区域が未記載のケースも>ハザードマップと地価 水害の危険性とどう向き合うか(2023年12月18日)
市区町村作成の水害ハザードマップで、国が指針で定める事項の一部が記載されていないケースが多いと、2023年10月、会計検査院が指摘した。水害ハザードマップは、津波や洪水などが生じた際の住民避難に用いられることを想定して、16年に改正された水防法により市区町村に作成が義務付けられている。10月13日付の読売新聞オンラインによると、会計検査院が抽出調査した375市区町村のうち8割超で、河川に近く早期の立ち退き避難が必要な区域、要配慮者利用施設、水没の恐れがあるアンダーパスや土砂災害警戒区域などが未記載であった。
こうした水害ハザードマップは、人々が水害に直面した際にどのように避難するか考えたり、自身の住まいやその近隣の危険度を把握したりするのに欠かせない情報源で、そこに必要事項が記載されていなかったことは大きな問題だと言える。一方で、未記載の理由が、マップが見づらくなることを避けるためであったとも報じられており、作成したマップが見づらくなって人々に利用されなければそれはそれで問題である――。
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2:【都道府県別データ】過去5年間の「自然災害」被害状況 地域の災害傾向と実態を知ろう(2023年2月19日)
来る3月11日で、2011年に発生した東日本大震災から12年を迎える。復興庁発表によれば、本年2月の時点で、道路や住宅等のインフラ復興は100%達成され、製造品出荷額等のいわゆる経済の復興も震災直後を上回るレベルまで回復していることが分かる。しかし、避難者数は福島県を中心に依然として3万人を超え、原子力災害のよる避難指示区域も3分の1がまだ解除されていない状況である。
2月に発生したトルコ南部地震での被害も甚大で、死亡者数は3万人を超えるとも5万人を超えるともいわれている。これは東日本大震災の死者1万9759人(震災関連死を含む)、行方不明者 2553人を超える大きな人的被害である。
また、国はこの2月、南海トラフ地震の被害想定を今後1年かけて見直すことを発表した。前回の被害想定は2012年であり、そこから10年以上が経過している。今年は死者10万5000余人を出したとされる1923年の関東大震災から100年目にあたる――。
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3:<SNSの普及で何が変わったのか>能登半島地震が明らかにした通信社会の弱点と報道メディアの役割(2024年1月10日)
能登半島地震の被害や死傷者の数やインフラの被害が日を追って深刻化している。東日本大震災を彷彿させる大災害である。阪神・淡路大震災、関東大震災までさかのぼれるだろう。大震災が起きる直前に新しい通信技術が普及を始めたことは歴史の皮肉といえる。新技術は弱点を抱えていたのである。
メディアの震災に対する取材体制も、新聞は部数と広告の減少によって取材拠点を縮小しつつあるなかで今回の能登半島地震を迎えた。公共放送としてのNHKはその責任から1月1日の地震発生直後から一貫して震災報道を継続した。民放キー局のなかではTBSがかなり報道体制をとった。日本テレビもかろうじてそれに続いた。しかし民放キー局は次第に通常番組の編成に戻っていった――。
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4:<命を行政に委ねてはいけない>災害大国に必要なのは行政依存ではなく住民の主体的な防災姿勢(2021年3月3日)
2018年の秋、政府中央防災会議の「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループ」が開催され、私は委員として参加した。この会議の報告書の原案に目を通すと、課題と改善の方向が見事にまとめられ、解決への処方箋が示されていた。その一文一文は間違いなく正しいのだが、全文を読み終えて、ある違和感を覚えた。それは「国民の皆様に分かりやすく周知する」「ご理解をいただく」など、国民へのお願い調の文章が並んでいたことだ。これは行政と国民との関係でいえば、災害対策の主体は行政、客体は住民という構造であることを意味していた。
このような構造のもと、行政だけが対策を積み増すという方向性は、住民の主体的な防災への姿勢を削ぎ落とすことにつながる。ともすれば、今後いつ起こるとも限らない激甚災害を前に、危ないところに堤防を造るのは「行政」、危ないところをハザードマップで教えるのも「行政」、危ない時に逃げろと言うのも「行政」、避難したら世話をするのも「行政」との意識になりかねない。こうした〝災害過保護〟状態にあるのが現代に生きる日本人の姿で、このままでは「命を守るのも行政」という誤った考えを生みかねない――。
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5:<毎年のように首都圏を直撃する大型台風>予測しておくべき被害パターンと危機管理とは(2019年10月11日)
千葉県を中心に大きな被害をもたらした台風15号に続き、大型で猛烈な強さに発達した今年最強の台風19号が10月12日からの3連休、日本列島を直撃する可能性が高まっている。昨年、大阪を直撃した台風21号では、東日本大震災に迫る損害保険の支払額を記録するほどの被害を出した。もしこの大型台風が首都圏を直撃したらどうなるのか、どう備えればいいのか?
災害による被害を正確に予測することは難しい。仮に予測できたとしても、予測した被害をハード・ソフト対策などにより全て予防するということも、時間的、資金的な制約があり現実的ではない。従って、予測・予防を高めながらも、万が一想定していなかった事態が生じても命を守り、被害を最小限に抑えられる行動を取るというのが危機管理のセオリーになる――。
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