2024年8月15日付の英Economist誌は、「韓国が核保有したら」と題する解説記事を掲載している。
韓国において、核兵器を保有するという考えは、近年、主流のものとなった。北朝鮮が核兵器を増強させていることもあり、現在では、国民の70%が核保有を支持している。
昨年、米国と韓国は、「拡大抑止」へのコミットメントを確認するワシントン宣言に署名した。米国は韓国を米国の核計画に近づけ、米国の核武装した潜水艦が韓国に寄港した。
しかし、かつて米軍を韓国から引き上げると脅したことがあるトランプが大統領に選出されれば、計算は違ってくる。北朝鮮の大陸間弾道ミサイルが米国の都市を危険にさらしている中、米国の韓国防衛の約束は信頼できるかと多くの者が疑問を持っている。
韓国が核保有に向かえば、北朝鮮、中国、ロシアは経済圧力や武力での脅しをかけたり、直ちに侵略をしたりするかもしれない。核不拡散条約(NPT)によって韓国の国際的な立場は損なわれよう。韓国のエリート層は核保有に一般の選挙民ほど前向きではない。
トランプは、韓国が駐留経費負担を増額することで満足するかもしれない。一方、トランプは、北朝鮮と取引をするかもしれない。また、逆に、トランプは、韓国の核保有に同意したり、さらにはそれを後押ししたりするかも知れない。
韓国はかつて朴正熙政権の際、秘密裏に核開発を試みたが、それは今日の民主主義体制の下では難しい。ただ、韓国が核保有に向かうとすれば、一年で核兵器を製造することも可能ではないかと専門家は見ている。
1970年以来、韓国は民生用原子力産業を発展させ、工学的な能力には定評がある。また、韓国は、すでにミサイル能力を持っている。一方、韓国に欠けているのは、核爆弾の原料の高濃縮ウランやプルトニウムである。
韓国の世論調査では、核保有に広範な支持があるが、それを進めようとすれば、国内的な批判の声も出てくるであろう。保守系は韓国独自の核戦力を持つことを支持しそうである。野党の意見は賛否両論である。