核兵器を保有することによって、韓国はより安全になるのだろうか。核保有論者は、北朝鮮に対抗するためには核が必要だと主張する。
いくら通常兵器において優位にあるとはいえ、抑止に求められる心理的な効果を効かせるためには核兵器の持つ特別な恐怖が必要だ。双方が核兵器を持てば、お互いの軍縮を交渉することが容易になる。
反対論者は、韓国が核保有すれば、朝鮮半島はより危険な場所になると反駁する。核軍拡となり、南北双方の経験の薄い指導者が核の引き金に手をかけることになると指摘する。
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トランプはひっくり返すか
韓国における核保有論議という、日本でも関心が高い問題についての解説記事である。念頭に置くべき論点がよくカバーされている点は評価できるが、網羅的であるだけに韓国が核保有に向かうかどうかについて、現実的見通しに繋がりにくい面がある。
この記事において米国の動きが取り上げられているが、韓国の核保有の如何を左右する最大の要素は米国がどちらの方向を向くかである。米国の伝統的な立場は、韓国、日本、ドイツといった高度の工業能力を持つ米国の友好国が核保有に向かうことを阻止するという核不拡散政策である。
米国がこの伝統的な立場を維持する限り、韓国が米国の意向に反する形で核開発を進めようとすれば、米国は韓国との同盟関係をも圧力の手段として用いて断固としてこれを阻止しようとするであろう。
それでは、トランプ政権となる場合も、この伝統的な立場は維持されるのだろうか。トランプのこれまでの姿勢に鑑み、不確定要素があることは否めない。
一方、前記の核不拡散政策は、民主党、共和党を問わず、核の専門家に共有されている。この記事は、トランプが韓国の核保有に「同意したり、さらにはそれを後押ししたりする」可能性に言及しているが、トランプ政権となった際、同盟国へ脅しや圧力を加えることは行うであろうが、それを超えて、超党派の支持のある核不拡散政策をひっくり返す蓋然性は高くはないだろう。
韓国の対応を決めるのは政権担当者である。この解説記事において世論調査での核保有支持が7割を超えていることが指摘されており、専門家の意見や政界の見方に言及があるが、それらが政策決定に直結するわけではない。