2024年10月10日(木)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年9月13日

 今回の大統領候補テレビ討論会では、共和党のトランプ候補に対して民主党のハリス候補が優勢との世論調査の結果が出て、内外の多くのメディアはハリス優勢という論調に傾きつつある。討論会直後には、人気シンガーソングライターのテイラー・スウィフトもハリス支持を表明し、ハリス陣営には勢いにのっているように見える。しかし、ハリスは勝てるのだろうか。

討論会では、ハリス氏(右)が優勢となっているが、それは選挙結果にも反映されるのか(AP/アフロ)

 ハリスが大統領となれば、初のアフリカ系でありアジア系である女性大統領である。オバマを除いてほかのすべてが白人男性によって務められてきた大統領職を目指すにあたって、ハリスが乗り越えなければならない壁は一つではない。

女性は大統領にしたくない?

 まず、ハリスは女性である。米国社会はミソジニー(女性嫌悪)が強い社会である。18世紀末の建国時、選挙権は白人男性のみがもっていた。白人男性の次に選挙権が与えられたのは、白人女性ではなく、黒人男性であった。

 白人女性にも選挙権が与えられるよう憲法が修正されたのは黒人男性に選挙権が与えられてから、半世紀も経ってからであった。以前は、結婚した女性に財産の所有権を認めない州もあった。

 女性に権力を与えるととんでもないことになるという考えは米国社会において歴史的に根強いのである。そのような風潮が21世紀の今日でも何ら弱まっていないということは、2016年の選挙の時のヒラリー・クリントン候補への風当たりの強さを見てもうかがい知ることができる。

 クリントンを嫌ったのは男性ばかりではなかった。大手メディアの調査によれば、女性全体ではトランプ支持よりもクリントン支持の方が多かったものの、白人女性に限ると、クリントン支持よりもトランプ支持の方が多かったのである。白人女性の過半数は、クリントンを大統領にしたくなかったのだ。


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