2024年4月20日(土)

中国メディアは何を報じているか

2014年1月30日

 現在、中国軍は機械化と同時に情報化建設も進めているが、情報化は追従、模倣という面が強い。軍事学説、新しい軍隊建設、能力建設、装備建設、訓練、教育、というような分野でのイノベーションでは中国はまったくダメだ。各レベルで相手に先んじなければならず、非対称的な優勢を得られるよう具体的措置をとる必要がある。我が軍は米軍による情報化建設における教訓や経験をくみ取ることができないでいる。兵士たちの資質を高める必要もある。情報化分野の教育、育成をどうするかについてこれまでのところ良い方法は見当たらない。個別の部隊、進んだ装備を備えた部隊は、少しはましだが、大部分、特に陸軍は遅れていて軍の情報化はまだまだ道半ばなのだ。

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【解説】

 中国軍のサイバー戦開発責任者が技術開発で米国に追いつき、追い越せと血眼になるのはそれほど奇異ではなく想定できることだが、それでも「目には目を、歯には歯を」と対抗心をむき出しにする様子にはぎょっとさせられる。国の予算がサイバー戦対策で重点的に配分されるということは権威主義体制の中国からすれば全く不思議ではない。ただ「透明なことではなく、透明化させられることが問題である」という指摘は日本にも当てはまることであり、サイバー面での技術革新、情報保全が求められるのは中国だけではない。

 しかし、それにしてもマンディアント社が暴露したとはいえ、中国軍のサイバー戦開発についての実態、全容がよくわからないこともありその薄気味悪さは拭えない。昨年秋には中国国内で200万人もの人員を動員してネット監視を強化しているという報道(2013年10月16日記事)を紹介したばかりだ。昨年11月に開かれた今後の政治経済の動向を決める「3中全会」では、軍事技術面で「軍民融合」を進めることが方針にも明記されたばかりである。

 サイバー戦の技術開発に民間企業が駆り出される可能性は大いにある。最近ではサーチエンジン運営会社百度の文字入力ソフトで入力内容が転送されるようになっていたという衝撃的報道があったばかりである。まして同社は、一昨年の日本政府による尖閣「国有化」措置時に中国語サーチエンジンサイトに島に中国国旗を掲げた画像を表示したことさえあるのだ。

 国防動員、軍民融合の名のもとにIT企業がサイバー戦にも駆り出されるような事態になれば、その抗争は我々が思うよりもグロテスクなものになるかもしれないと考えると背筋が寒くなる思いだ。

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