中国の宇宙開発当局は30日、有人宇宙船「神舟19号」の打ち上げに成功したと発表した。
神舟19号は、宇宙飛行士3人を、中国の宇宙ステーション「天宮」に運ぶ。
搭乗したのは、蔡旭哲氏(48)、王浩澤氏(34)、宋令東氏(34)。王氏は中国初の女性宇宙エンジニアだ。
国営メディアは、「これまでで最も若いクルー」だと強調しており、中国が未来への投資を重視しているという明確なメッセージを発信している。
3人は今後6カ月間、船外活動や実験を行い、2030年までに中国が月面に人を送るための経験と知識を得ることを目指す。
中国はここ数年で宇宙開発を急速に進めている。
今年初めには、月の裏側から岩石と土壌サンプルを採取するという歴史的な偉業を達成した。
2021年には、火星に探査機を無事着陸させているほか、宇宙に人工衛星群を保有しており、さらに多くの衛星を打ち上げる計画も立てている。
BBCは今回、中国北西部甘粛省の酒泉衛星発射センターでの取材を許可され、打ち上げの瞬間を間近で目撃した。
ローラ・ビッカー北京特派員によると、報道陣は打ち上げ場所から車で3時間離れたホテルに滞在し、バスで往復して計12時間かけて取材した。打ち上げ場所に何時間か滞在することは認められなかった。
地元の気安いレストランへの簡単な外出も、警備スタッフによって厳重に警備された。
また、街中の看板には「機密を漏らすことは犯罪です。機密を守ることは名誉です。機密を漏らせば投獄されます。機密を守れば幸せになれます。機密を売れば銃殺されます」と書かれていた。
アメリカとの競争がもはや地球上の問題にとどまらないため、中国は新技術に対して一切の妥協を許さないようだと、ビッカー特派員は伝えた。
アメリカでは、中国が宇宙開発の技術を軍事転用することへの懸念の声が大きくなっている。
アメリカ宇宙コマンドのスティーヴン・ホワイティング前司令官は、4月に開催された宇宙シンポジウムで、中国とロシアが「驚異的なスピード」で宇宙開発に多額の投資を行っていると述べた。