イスラエル北部で10月31日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによるロケット弾攻撃が2件あり、計7人が殺害された。イスラエル当局は、同国にとってここ数カ月間で最大の人的被害だとしている。
イスラエルのイスラエル・カッツ外相は、レバノン境界線沿いの町メトゥラの近くにロケット弾が着弾し、イスラエル人の農家1人と外国人農業労働者4人が殺害されたと説明した。
イスラエル紙ハアレツによると、死亡した農家は46歳の男性で、子ども4人がいる。外国人労働者は全員タイ国籍だった。別の外国人労働者1人が破片で重傷を負ったという。
同紙は、地元の緊急対応チームのメンバーの話として、メトゥラは「軍事封鎖区域」内だが、今回死傷した人たちが立ち入るのを、イスラエル軍が許可していたと伝えた。軍事封鎖区域は、イスラエル軍がレバノンへの地上侵攻を開始する直前の9月末に設定したもの。
この日は、メトゥラの南西約65キロメートル、レバノンとの境界線からは28キロメートルに位置するキブツ(農業共同体)アフェクの近くでも、ロケット弾による攻撃があった。
ハアレツによると、ロケット弾の一つがオリーブ畑に着弾。オリーブを収穫していた女性(60)と息子(30)が死亡したという。
救急隊によると、70歳の男性も破片で軽傷を負い、病院に運ばれたという。
ヒズボラは、イスラエルの沿岸都市ハイファの北のクラヨット地区と、メトゥラと境界線を隔てたレバノンの町キアムの南にいたイスラエル軍に向け、ロケット弾を発射したと発表した。
平和維持軍の基地に着弾
こうしたなか、レバノン南部の国連平和維持軍の基地に30日夜、イスラエルに向けて発射されたロケット弾が着弾したと、この基地に駐留するアイルランド軍の責任者が述べた。
被害は最小限で、死傷者はなかったという。
アイルランドのサイモン・ハリス首相は、「幸いにも全員が無事だが、まったく容認できない出来事だ。平和維持部隊の要員は国際法で保護されており、その保護を確実なものにする責任はすべての当事者にある」と述べた。
レバノンで救急隊員が相次ぎ死亡と
イスラエルでは31日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と、アメリカの特使2人が会談し、ヒズボラとの停戦合意の可能性について協議した。
イスラエル軍はこの日、レバノン南部において作戦を継続していると発表。レバノン
一方、レバノン保健省は、南部3カ所の町で計6人の救急隊員が、イスラエルの攻撃によって死亡したと発表した。
イスラエル軍は、レバノンの救急隊員が死亡したとされることについて、コメントを出していない。イスラエル軍が5週間前にヒズボラへの空爆を強化して以来、レバノンでは緊急対応に当たる救急隊員などのスタッフが何十人も殺傷されている。
イスラエル軍は、ヒズボラが救急車を使って武器や戦闘員を運んでいると非難している。ヒズボラ側は、これを否定している。
一方、イスラエル軍が避難指示を出したレバノン東部ベカー渓谷(高原)のバールベックの近郊でも31日、新たなイスラエル軍の空爆があった。
レバノンの国営通信社NNAは、カヤール地区で女性1人が殺害されたと報じた。また、バールベックの北東5キロにある、避難区域には含まれないマクナで、民家が爆撃され6人が殺害されたと伝えた。
(英語記事 Seven killed in Israel in deadliest Hezbollah rocket strikes in months)