経済の常識 VS 政策の非常識

2014年3月3日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 格差拡大は高齢化に伴う現象で、高齢化の影響を調整してみると、格差は広がっていないというのが多くの経済学者の分析結果である。所得の差は年齢が上がるにつれて開いていくため、もともと高齢者は他の年齢層に比べて格差が大きい。高齢化で所得のばらつきが大きい人々が増えれば、社会全体の格差も広がる(大竹文雄『日本の不平等』第1章、日本経済新聞社、05年)。

 図は、年齢ごとのジニ係数を、年次を追って見たものである。ジニ係数とは全く平等ならばゼロ、1人の人がすべてを持っていれば1となる不平等度の指標だ。指標が大きいほど格差が大きいことになる。これによると、40歳代以下を除いて、年齢ごとの格差はむしろ縮小している。年齢ごとの格差が縮小しているのに、社会全体での格差(図の一番右の平均)が大きくなっているのは、格差の大きい高齢者が増えたから、すなわち、日本の高齢化が進んだからだということになる。

 なぜ高齢者間での格差が縮小したかと言えば、年金制度が充実して多くの人が食べられるだけの年金を得られるようになったからだ。

 小泉政権時(01年~06年)に近い04年から09年における社会全体の格差の動きを見ると、過去に比べて格差拡大の程度が一番小さいようである。

 前掲の図で、若年層の部分を見ると、94年まで若者の格差がほとんどなかったのに、99年以降、若者の格差が拡大するようになったことが分かる。特に、04年の格差拡大が大きい。

 90年代後半以降、若年層の所得格差が拡大したのは、正社員になれた若者とフリーターの若者の所得格差が大きかったからだ。正社員同士の格差より、正社員とフリーターの格差の方が大きいから、正社員になれない若者の比率が高まれば、所得格差は拡大する。そうなった最も大きな理由は、90年代は景気が悪かったからだ。

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