2024年12月23日(月)

world rice

2014年3月6日

 2013年11月、今年度のコメの出来栄えを競い合う「米・食味分析鑑定コンクールあ国際大会」(主催=米・食味鑑定士協会)が宮城県七ヶ宿町(しちかしゅくまち)で開かれました。15回目の今大会は、全国各地や海外から約4000品が集まり、機械鑑定による審査を通過した上位40位がご飯として炊かれ、食味鑑定士らの舌による最終審査へ。金賞は宮城県、福島県、群馬県、長野県、岐阜県、高知県、島根県の「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」など17品が受賞しました。

 国際大会の名の通り、海外からも米国産や台湾産、中国産など28品が集まりました。私が同年、米国で栽培を手伝ったカリフォルニア産コシヒカリも、前年に続いて出品したため、生産者のジョンソン氏と共に会場を訪れました。惜しくも受賞は逃しましたが、機械鑑定では「非常に高い食味値」と判定され、上位30位に入りました。

 まだごく一部ではありますが、カリフォルニアでは、食味でも日本のコメに劣らないほど、生産技術が向上しています。では将来的にこうしたコメが日本国内で自由に流通できるようになるのでしょうか。

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉でコメなど重要5品目の関税をめぐる日米の協議が年明けまで持ち越されましたが、コメの国際交渉といえば、1986~93年のGATT(現・WTO)のウルグアイ・ラウンド農業交渉まで遡ります。交渉が始まった86年、私は日本のコメ農家の一人でした。その当時、周囲の農家たちからは「コメの輸入自由化の絶対反対運動に賛成しない非国民!」といった非難の声が私に向けられました。

 そうした声を尻目に、私は渡米。カリフォルニアでコメ生産を始めると、今度は反対に米国の生産者から「日本はなぜ、カリフォルニアのコメを輸入しないのか」と迫られました。日本の市場開放に大きな期待を寄せていたのです。

 しかし、日本はミニマムアクセス(最低輸入義務量、MA)米を輸入する見返りとして、関税を維持(コメ関税率は農林水産省が「見解」を修正し、778%から280%に変更したとの報道も)。米国の生産者は「いつまで経ってもカリフォルニアのコメは、日本の消費者には届かない。競争できれば、おいしいコメづくりにも励みが出るのに」と落胆していました。


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