2024年12月5日(木)

BBC News

2024年11月27日

ロシア国防省は26日、西部クルスク州の重要な防空システムと空軍基地が、ウクライナによって攻撃されたと発表した。アメリカが供与した長距離ミサイル「ATACMS」が使われたとしている。ロシアがこうした発表をするのはまれ。

国防省などによると、州都クルスクの北西に位置するロタレフカにある防空ミサイル「S-400」の大隊が23日、攻撃を受けた。同ミサイルは、アメリカのミサイル「パトリオット」のロシア版と考えられている。

発射された5発のATACMSのうち3発は撃墜したが、2発が着弾。レーダーシステムが損壊され、死傷者が出たという。

また、25日にはクルスク郊外のハリノ空軍基地にATACMSを使った第2弾の攻撃があった。発射された8発のうち1発が防空システムをくぐり抜け、「軽微な被害」をもたらしたという。

ロシア国防省は声明で、「事態は掌握しており、報復措置を準備している」とした。また、ハリノ空軍基地への攻撃の残骸とされる写真を公開した。

ソーシャルメディアに25日に投稿された動画には、国境地帯の上空で明るい光が走った様子が映っている。ATACMSがロシアの防空システムによって迎撃された瞬間だと、投稿者は説明している。

BBCヴェリファイ(検証チーム)は、この映像がクルスクで実際の場面を撮影したものだと確認した。だが、光がATACMSによるものなのかは検証できなかった。

ロシアがドローン188機で攻撃と

ウクライナ空軍は26日、ロシアが前日夜にドローン(無人機)188機とミサイル「イスカンデル」4発をウクライナに発射したと発表した。1回の攻撃におけるドローンの数としては最多だという。

ドローンのうち76機は撃墜したが、95機が「追跡不能」となり、重要インフラや住宅が攻撃されたという。

ウクライナ西部テルノピリ州では電力の70%が途絶えたと、同州知事が話した。

ロシアとウクライナの緊張は、アメリカがウクライナにロシア国内への攻撃でATACMSを使うことを認めたと先週報じられて以来、一段と高まっている。アメリカの容認は、ロシアが北朝鮮兵を戦闘地域に送ったことへの対抗とされる。

ロシア国内へのATACMSによる攻撃が最初に報告されたのは19日だった。ロシアは落下した破片が軍事施設の火災を引き起こしたと発表した。

一方、ロシアは21日、ウクライナ東部の都市ドニプロに強力な新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使用したと発表。緊張がさらに高まった。

こうしたなか、ロシア亡命者らが運営する調査報道サイト「Agentstvo」は、ウクライナがこれまでで最も速いペースで領土を失っていると伝えている。

ただ、ウクライナ東部におけるロシアの占領地拡大のペースは、同国軍がウクライナの首都キーウに迫った2022年2~3月の急速な前進に比べればまだ極めて遅いという。

(英語記事 Key Russian air defence system hit in Ukraine Atacms strike

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4gx1lv1dqko


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