特に家族との日常会話でありがちなのが、どちらかが話しかけても、もう一方は話を聴くモードになっておらず、聴いていないというシチュエーションです。特に家事や食事など、会話以外のことをしながら会話をするときに、話す側は相手が聴けているか確かめながら話し、聴く側も、いったん手を止めるなどして聴く構えを作る工夫が有効です。
聴く姿勢=吸収する姿勢
脳が長持ちする会話を支援する共想法を通して高齢の方と接していると、人の話をよく聴ける方には、何かを吸収しようという姿勢が強いように感じます。仕事の話だから重要で、日常会話だから神経を使わなくても良いということではなく、場面によらずどんなときでも、人との交流やその場の空気を楽しみ、新しい考えを自分に取り込んでいくことが、人として成長し続けていくことにつながるのだと思います。
聴く力を養うには、「聴く6」:「話す4」の割合を意識してみることをおすすめします。
誰かと話しているとき、頭の中で考えていることの多くは「次は何を話そう」であることがほとんどです。相手の話に反応する形で、自分が話せることを探しているのです。
自分が意識的に「聴こう」と思わなければ、脳は聴こうとしません。脳が「これは見ない」と決めたら、その情報は全く入ってこないようにできているのですから、聴くか聴かないかも同じです。物理的に音が耳に届いていても、聴けてはいないのです。
どのようにして6:4にするかですが、そこで大活躍するのが質問です。頭の中で次に自分が話すことを考える割合を、相手への質問を練る割合に変えていくことで、「聴く」ことに集中できるようになります。次に自分が話すターンが来たときも、自分が投げかけた質問によって、さらに話を「聴ける」という好循環が生まれます。