2024年12月21日(土)

WEDGE REPORT

2024年12月21日

(フィンランドのタンヤ・ヤースケライネン大使)

 大使は今回の万博の意義について「北欧の文化、生活、食などあらゆるものを広く知ってもらいたいのと同様に、様々なイノベーションや技術を披露する場として期待している。会期中にはパビリオンでの日本の企業や様々な団体との会合も予定しており、5カ国共同パビリオンのためフィンランドに割り当てられた日数は限られているけれども、効率的にフィンランドの魅力を伝えたい」と語った。

「Be Active(アクティブであれ)」

 万博会場でのイベントと前後して、フィンランド首相ぺッテリ・オルポ氏の来日も実現した。東京で記者クラブでの会見を開いた後、12月12日には京都大学で学生向けの講演も開かれた。テーマとなったのは「フィンランドがいかにSDGsを実現しているか」だ。

 国連のSDGs達成度ランキングで、フィンランドは2024年までの4年連続首位(日本は18位)、またドイツの非営利団体が発表するCCPI(気候変動パフォーマンスインデックス)では24年は26位(日本は58位)だったが、23年は15位と平均して評価が高い。

ぺッテリ・オルポ首相

 フィンランドでは2035年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げており、気候変動対策のための公的投資にも積極的だ。特に国土の大半が森林に覆われている、という土地の強みを活かし、電力源の13%強をバイオマス発電が占める、など再エネ率は52%となっている。

 首相はSDGsの実現には「政府によるアクションだけでは十分ではない。企業、大学、地域コミュニティが一丸となり、目標達成に向けたイノベーションの創造や努力が必要だ」と語った。そのために最も必要なことは「ディスカッション」である、とし、学生に向け「Be Active(アクティブであれ)」というアドバイスを送った。

 地政学的な要因から防衛産業に注力しているフィンランドではあるが、同時に環境関連技術にも強みを持ち、エコロジカル・サスティナビリティを重視する企業育成にも熱心だ。こうした技術を売り込むことも、フィンランドと日本のビジネス協議において重要な要素となるだろう。

 まだ外側には足場が組まれ、内部も内装がほとんどない状態のパビリオンではあるが、「会期前には北欧パビリオンだけではなく会場全体が完成していることに自信を持っている」と語ったヤースケライネン大使。こうした参加国の期待に万博側はどのように応えていくのか。会場外側の広大な土地はまだ手付かずの状態で、万博に通じる地下鉄駅の開業は1月に予定されている。万博敷地内は工事車両が頻繁に行き来し、急ピッチで工事が進められている様子は伺えたが、残り4カ月で本当に完成するのか?と多少不安な気持ちにさせられるのも確かだ。

 しかしすでに完成したパビリオンもあり、イタリア館では内部を公開するイベントも開かれた。今後チケット販売も含め、万博運営側のさらなる努力が期待される。

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