2024年12月21日(土)

World Energy Watch

2024年4月4日

 ここ数カ月の間、電気自動車(EV)に関する報道が多くあった。「EV販売失速」、「ハイブリッド一人勝ち」、「EV値下げ競争」などEVの販売不調を告げるものが大半だ。自動車メーカーが想定していた将来のEV生産台数を下方修正、あるいは投資先送りとのニュースもあった。

 報道の背景には裏付けになるデータがあるのだが、データをよく見ると、補助金の廃止など特殊な事情のある国を除けば、EVの販売増加のスピードは落ちているものの、主要市場の中国、米国、欧州では対前年度比の数量を見る限り販売台数増は続いている。

(SweetBunFactory/gettyimages)

 2月の販売低迷の原因は、EV販売の6割を占める最大市場中国の春節だ。例年1月と2月は春節の休みの影響で中国での販売が低迷し、世界の販売台数とEVのシェアに大きな影響を与える。

 ハイブリッド一人勝ちも、少しオーバーな表現だ。ハイブリッドの販売台数が増加しているのは事実だが、EVの販売増を多少上回るペースというだけだ。

 EV販売価格の値下げも今に始まったことではなく、米国では1年以上前から続いている。中国でも最大手BYDが値下げをしている一方、欧州市場では平均のEV価格は値上がりしていると言われている。メーカーは市場と競合の様子を見ながら値付けしているのだろう。

 EVの生産・販売に前のめりになっていた欧米のメーカーの中には、EV生産スケジュールを見直す動きがあるが、世界中の車が一度にEVになるはずはないという現実に則した動きだ。欧米メーカーもようやく日本のメーカーの考えに近づいてきたのだろう。

 いまEVの世界で起こっていることをデータから見てみよう。


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