世界各地で今後数日間、16万年に一度見られるとされる彗星がはっきりと視認できる可能性がある。
この彗星は「アトラス彗星(C/2024 G3)」。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、今後の明るさを予測するのは「難しい」としつつ、肉眼で見えるほどの明るさを保つ可能性があるとしている。
この彗星は13日、太陽に最も接近する「近日点」に到達した。太陽との距離は、彗星の明るさに影響する。専門家たちは、同日夜から彗星が見られる可能性があるとしている。
彗星を見られる正確な場所は不明だが、南半球から観測するのが一番いいかもしれないと、専門家たちはみている。彗星は金星と同じくらい明るく輝いて見える可能性があるという。
この彗星は昨年、NASAの「小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)」によって発見された。
どこで見られるのか
英キングス・コレッジ・ロンドンの宇宙素粒子物理学と宇宙論の研究者、シャム・バラジ博士によると、「現在の軌道計算では(彗星は)太陽から約830万マイル(約1300万キロメートル)の地点を通過すると示されている」という。
同大学は、この彗星が見られるのは16万年に一度だとしている。
バラジ博士は、彗星を見つけるチャンスは「近日点前後の数日間で、(観測場所の)状況と彗星の動き次第」だと述べた。
「ほかの彗星と同様に、その見え方や明るさは予測不可能だ」と、同博士は付け加えた。
彗星が最もよく観測できると予測されている南半球の人々は、「日の出前に東の地平線を、近日点に達した後は、日没後に西の地平線を見る」といいと、バラジ氏は述べた。
しかし、「かなり明るい」彗星だとみられているものの、その明るさの予測は「不確か」で、最初の予測よりも暗くなることが多いとした。
イギリスなど北半球では観測が難しい可能性がある。
バラジ博士は、彗星を見つけるには、光害のない場所を探し、双眼鏡か小型望遠鏡を使うよう助言している。
また、日の出と日の入りの前後は慎重に空を観察し、現れる可能性がある部分で彗星の位置を追跡するべきだとしている。
こうした中、天文学者たちは彗星を追跡している。
NASAの宇宙飛行士ドン・ペティ氏は、国際宇宙ステーション(ISS)から撮影した彗星の画像をソーシャルメディアに投稿した。
「軌道上から彗星を見られるなんて本当に素晴らしい。アトラスC/2024 G3は私たちのもとを訪ねてくれている」
(英語記事 Rare comet may be visible for first time in 160,000 years)