2025年1月15日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月15日

 ニューヨーク・タイムズ紙の12月19日付け解説記事‘Here Are 4 Reasons China Meddles in Local U.S. Politics’が、「中国の工作活動は、連邦政府や国会議員へのアプローチが難しくなっていることから、地方政府や地方議員へのアプローチが増している。要注意である」と警告している。要旨は次の通り。

(MAXIM ZHURAVLEV/gettyimages・dvids)

 2024年、ニューヨーク州知事の元側近が中国のスパイとして起訴された。連邦政府による起訴は、州レベルの統治に対する中国の関心の高さを示唆した。

 防諜・検察当局者によると、中国の外交官やその仲介者たちは、地方の政策決定や、市役所や州議会からの便宜を得るために、旅行の便宜、地元動物園のためのパンダ等の贈り物をちらつかせることが増えているという。その理由は以下の通り。

(1)国家レベル指導者達へのアクセスが減少した。

 かつては国会議員が中国を定期的に訪問していたこともあったが、現在はほとんどなくなった。米国では中国は不人気であり、議員が中国を訪問することで政治的代償を払うことになりかねない。また、北京に近い人物と付き合うのは危険だと考える議員もいる。

 それゆえ、中国にとって、地方指導者へのアクセスは次善の策である。「ワシントンの中国に対する態度が厳しくなるにつれ、地方が重要になってきている」と、中国の研究機関と北京の清華大学による研究(2019年)は報告している。

(2)地方の政治家達は保護されていない。

 地方政治家の方が影響を受けやすいと、中国共産党関係者が中国語の刊行物に書いている。また、安全保障上の脅威に対する保護も薄い。

 国会議員は海外に行く前に中央情報局(CIA)のブリーフィングを受けるが、地方政治家は通常受けることはない。そして、地方政治家の優先事項は国家安全保障でなく、彼らは前向きな協力関係・経済関係に目を向けている。

(3)今日の市長は、明日の上院議員になりうる。

 米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、22年、「中国の工作員は、将来的に中国のアジェンダを代弁してくれる米政治家を探している。彼らは早期に人材を見つけ育成することを考えている」と語っている。


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