2025年1月15日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月15日

(4)北京は華僑に強い関心を持っている。

 一部の地域では、政治的アクセスは、中国系ディアスポラを監視し、反体制派を黙らせることにある。ニューヨークとサンフランシスコは中国系住民が多く、最重要ターゲットである。北京はこれらのコミュニティを支配し、台湾が影響力を持たないようにしたいのだ、と言われている。

 この支配権争いは、ニューヨーク州知事の元側近に対する告発にも反映されている。彼女は、台湾の代表が知事室に出入りすることを妨害したことで非難されている。

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地方政府への工作図る中国

 上記の記事の「中央政府・国会議員だけでなく、地方公共団体・議員も中国に対する警戒感を高めるべき」との指摘は、中国やロシアとの付き合いにおける、非常に的確な警告である。

 毛沢東は「農村から都市を包囲せよ」という戦略で中国革命を勝利に導いた。現在においても、中国共産党は「対外関係」、「国内外のビジネス展開」、「影響力工作」などにこの手法を活用している。

 民主主義国家では、外交・安全保障は国の専管事項であり、地方自治体や地方議員にはあまり関係ないとの思いがあって、地方における「対中警戒感」は薄い。中国は、この警戒感の薄さにつけこんで、地方政治の中枢に工作を実施してきていると思われる。

 記事で言及されているNY州の華僑が絡む案件は、ホークル元NY州知事の元側近リンダ・サン首席補佐官代理である。彼女は、中国生まれで、幼少期に両親とともに渡米、コロンビア大学大学院で学び、米国に帰化した中国系米国人で、積極的に中国政府に協力したとされる。

 また、昨年9月にフィリピンでは、北部バンバン市のアリス・グオ市長が、実際は中国人であるにもかかわらず、経歴を偽装してフィリピン人になりすまし、市長に当選。犯罪組織への協力等が発覚・逮捕された。


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