2025年1月15日(水)

BBC News

2025年1月15日

サラ・レインズフォード東欧特派員、マイア・デイヴィーズ(BBCニュース、ロンドン)

ウクライナは14日、ロシアの領土内の標的に対し、この戦争で「最も大規模な」攻撃を行ったと発表した。

ウクライナ軍の参謀本部は、複数の州で弾薬庫や化学工場などを攻撃したと説明。国境から数百キロの位置にある標的も対象にしたと述べた。

ウクライナ保安庁(SBU)の情報筋はBBCに対し、13日夜の攻撃はロシア軍の戦争遂行能力に「痛恨の一撃」を与えたと語った。

ロシアは、アメリカが供給している「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)」のミサイルや、イギリス製の長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」などを撃ち落としたと発表。攻撃に対応するとしている。

ロシア中部や西部では少なくとも9カ所の空港が一時的に発着を停止した。また、南西部サラトフ州では攻撃のため、学校が閉鎖された。

SBUの情報筋はBBCに、国境に近いブリヤンスク州では攻撃の結果、製油所や弾薬庫、火薬や爆発物を製造している化学工場などで爆発があったと述べた。

一方でウクライナ参謀本部は、ロシア領土のさらに内側の、国境から1100キロ離れた標的まで攻撃したと主張している。

西部サラトフ州では、「大規模」なドローン(無人機)攻撃が報じられている。

ロマン・ブサルギン知事はメッセージアプリ「テレグラム」で、エンゲリス市とサラトフ市にある工場が被害を受けたと語った。

また、同市では学校が閉鎖されたため、授業がオンラインになったという。

ウクライナは先週、エンゲリスにある貯油タンクを攻撃したと発表。火災の鎮火には数日を要し、ブサルギン知事は緊急事態を宣言していた。

同じく西部のトゥーラ州でも夜通しの攻撃があり、ドミトリ・ミリヤエフ知事によると、空軍がドローン16機を撃墜したという。

この攻撃での死傷者はなかったが、落下した破片によって車や建物に被害が出た。

このほか、中部タタールスタン共和国の首都カザン近郊のガス貯蔵施設にもドローンによる攻撃があったが、死傷者は出ていないもよう。

ウクライナは、13日夜はロシアにとって激しい夜だったと述べた。

インターネットに投稿された映像は、少なくとも一部の主張を裏付けているようだが、ロシア国防省は、ブリヤンスクと黒海上空でアメリカ製およびイギリス製のミサイルを撃墜したと発表している。

BBCは、ロシアが一晩でこれらの西側製ミサイル14発を撃墜したという主張について、ウクライナの参謀本部にコメントを求めた。

ボフダン・セニク報道官は、「あなたが尋ねている情報については何も知らない」と述べた。

ウクライナは一方で、ロシアがウクライナ各地にドローン攻撃を仕掛けたとも発表。首都キーウ周辺でも複数回、空襲警報が鳴ったとした。

ウクライナ当局は、1機以外は撃墜されたか、行方がわからなくなったとしている。

そのうちのいくつかは、防空システムを圧倒するためのダミーまたはおとりのドローンだったという。

アメリカから厳しい言葉

ウクライナは、地上でのロシア軍の前進に対抗するため、あらゆる手段を講じている。

ドナルド・トランプ次期米大統領の就任式まで1週間となった現在、ウクライナ当局は、徴兵年齢を引き下げ、より多くの兵士を前線に送るようアメリカ政府から圧力を受けている。

トランプ氏の国家安全保障顧問であるマイク・ウォルツ氏は最近、米ABCニュースに対し、ウクライナは兵力不足に対処すべきだと発言。アメリカがウクライナを全面的に支援するためには、ウクライナが「民主主義のために全力を尽くす」必要があると述べた。

ウクライナが自国と北大西洋条約機構(NATO)の東側の防衛に多大な犠牲を払っていることを考えると、これは厳しい言葉といえる。トランプ氏がホワイトハウスに戻ることで、アメリカ政府の対応が変わることを予告しているように見えた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、すでに配備されているウクライナ軍が武器不足に陥っている中で、徴兵年齢を25歳から18歳に引き下げる意味はないと再び述べた。

「戦場には100以上の旅団があり、それぞれが日々の補充と装備を必要としている」とゼレンスキー氏は述べた。

ウクライナは、同盟国が約束した武器、特に防空システムやミサイルの送付が遅れているとたびたび主張している。

トランプ氏は、ホワイトハウスに戻った際にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、ウクライナでの戦争を終わらせることを優先事項にすると述べている。

しかし、具体的な計画については明らかにしていない。

(英語記事 Ukraine launches largest attack of war so far, Kyiv claims

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cm27vnj7x98o


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