2025年1月15日(水)

BBC News

2025年1月15日

韓国の捜査当局は15日午前、内乱の疑いで尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(64)に出されていた拘束令状を執行し、尹氏を拘束した。当局が発表した。今月3日にも拘束を試みたが、大統領警護庁が阻んだため、この日早朝から改めて令状執行に乗り出していた。現職大統領の拘束は韓国では初めて。

高位公職者犯罪捜査庁(CIO)は、捜査員が午前10時33分、「尹に対する拘束令状を執行した」と発表した。

韓国メディアは、大統領公邸から尹氏が乗ったとみられる車両が出て、まもなくCIOの庁舎に入ったと伝えた。

尹氏はこの日朝、3分弱のビデオ声明を発表。「CIOに出頭することにした。違法な捜査だが、不穏当な流血を防ぐためだ」、「だが、捜査を肯定しているわけではない」と述べた。

尹氏に対しては、昨年12月3日に「非常戒厳」を宣布したことをめぐり、内乱容疑で合同捜査本部が捜査を進めている。尹氏は同14日に国会で弾劾され、大統領の職務を停止されている。

その後、捜査当局は尹氏に再三、出頭を求めているが、尹氏は応じていなかった。

捜査当局は裁判所が拘束令状を請求し、昨年末に発行された。しかし、有効期限の今月6日までに尹氏を拘束することができず、あらためて令状を請求。7日に再発行されていた。

捜査当局は尹氏を最長48時間、拘束できる。その間に、裁判所が逮捕令状を出さなければ、尹氏は釈放される。

逮捕状が出された場合、尹氏は裁判まで最長20日間、拘束される。

起訴に至れば、検察は尹氏を拘束したまま裁判にかけるよう求める可能性がある。認められれば、最長6カ月間、尹氏を拘束できる。

尹氏はこの日のビデオ声明で、韓国で法の支配が崩壊してしまったと語り、捜査をしている当局にも、逮捕状を出した裁判所にも、その権限はないと主張した。

声明の最後では、「今は暗黒の日々だが(中略)この国の未来には希望がある」とし、支持者らに「強さを保とう」と呼びかけた。

一方、最大野党「共に民主党」の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は、尹氏が拘束されたことで、「韓国で正義が生きている」ことが確認されたと述べた。

捜査当局は15日午前4時過ぎから、再び令状の執行に着手。韓国メディアによると、大統領公邸の入り口から建物までの間に警護庁が設置した3重の封鎖線を越え、捜査員らは公邸内に入った。公邸のドアは開けたままで、職員らが出入りするのが見えたとされる。

大統領公邸の前には、尹氏の支持者と批判する人たちの双方が多数集まっていた。警察は約1000人態勢で警備に当たっていた。

尹氏の弁護団は、警察による拘束の試みを、国民に対する裏切りだと批判している。

尹氏の弾劾をめぐっては、憲法裁判所で14日、弁論が始まった。尹氏は出廷せず、約4分で閉廷となった。

憲法裁が弾劾を妥当と判断すれば、尹氏は罷免される。妥当ではないとの決定を出せば、尹氏は大統領の職務に復帰する。

(英語記事 South Korea investigators enter impeached president's residence in second arrest attemptS Korea begins impeachment trial of suspended president

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c8r5lrmyj5no


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