英ロンドンのウェストミンスター寺院で13日、「進化論」で知られる自然主義者チャールズ・ダーウィンの墓がスプレーで落書きされ、環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル(とにかく石油をやめろ)」(JSO)の女性2人が逮捕された。
JSOによると、活動家2人は、チョーク・ペイント(炭酸カルシウムと天然顔料でつくられた塗料)を使って、ダーウィンの墓に文字を書いた。
事件は13日午前9時30分に起きた。通報を受けたロンドン警視庁の警官が、器物損壊容疑で女性2人を逮捕した。2人は警察で拘束されている。
ウェストミンスター寺院は、墓の清掃のため「緊急の措置」を取ったとしている。
JSOによると、英中部ダービー出身の元ティーチング・アシスタント、アリソン・リー氏(66)と、南西部ロード出身で、レディング評議会の元最高責任者ディ・ブライ氏(77)が今回の行為に関与していた。
ウェストミンスター寺院の広報担当者は、「当寺院の保存管理者が、記念碑を清掃するための緊急の措置を取っている。永久的な損傷はないと思われる」と述べた。
また、寺院は礼拝に訪れる人などのために開館していると付け加えた。
リー氏はPA通信に対し、「私たちは政府に気候変動に対する行動を起こさせようとしている。政府の対策は十分ではない」と語った。
「ダーウィンは憤慨しているはず」
一方、ブライ氏は、「世界に希望がないから、私たちはこういうことをした」のだと語った。
「私たちはダーウィンの墓を狙って、今回の行動を起こした。6度目の大量絶滅が今まさに起きているために、ダーウィンは墓の中で身をよじっているはずだからだ」
「彼は(自分たちの行動を)認めてくれると信じている。優れた科学者だった彼は、科学に従うはずなので。そして、科学を無視する政府に対して、私たちと同じくらい憤慨しているはずだ」と、リー氏は付け加えた。
欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)は10日、世界の気温が昨年初めて、工業発達以前に比べて摂氏1.5度を上回ったと発表した。
2015年のパリ協定で各国は、世界平均気温の上昇を工業発達以前に比べて1.5度に抑えることなど、複数の重要な目標を掲げた。気候変動がもたらす最も危険な影響を回避するためだった。
科学者たちは、記録的な気温は主に人為的な気候変動によるものだとしつつ、エルニーニョ現象のような他の要因の影響もあるとしている。エルニーニョ現象では、太平洋の東側で暖かい海水が海面まで上昇し、大気中に暖かい空気を押し出し、気温が上昇する。
イギリスの気象庁やイースト・アングリア大学、国立大気科学センターの分析も、2024年は観測史上最も暑く、工業発達以前に比べて1.5度を超えた最初の年となる「可能性が高い」としている。