日本も「地方」へ警戒を
この2つの事件は、日本への警告でもある。在日中国人は約82万人(24年6月現在)であり、また、既に日本国籍を入手した中華系日本人は多く、彼らに対する中国共産党からの働きかけが懸念される。
地方への工作強化の理由として記事に記載されている4つの点は、「人」に焦点を当てた留意事項であるが、中国の工作に注意を要する分野としては、地方に存在する軍用施設・インフラ施設と近隣土地の所有権、それに、農地などもあげられる。
なお、日中間には、364(18年12月末現在)の友好都市連携協定が結ばれている。中国の場合、姉妹都市は共産党人民外交のツールであり、基本方針は、党の「中国人民対外友好協会」が決めると言われている。
日中姉妹都市第一号は1972年神戸市と天津市であり、その後1980年~2000年代に多くの姉妹都市協定が結ばれた。ピークは94年の年間25件であり、中国は姉妹都市・文化交流事業を活用して「地方への工作」を積極的に行ってきたと思われる。
ただし、習近平が党書記に就任した2012年、国家主席になった13年以降は、日中間の姉妹都市新規協定はほとんどなく、交流事業も低調である。