2024年4月20日(土)

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2014年3月31日

日本の減反廃止 ゆがむ飼料用米の市場

 日本では今年度、豊作で過剰米が発生しました。14年度は主食用米の生産数量目標を今年度よりも26万トン減らすそうです。

 しかし、事前に生産量を調整する生産数量目標も「減反」政策の見直しで、17年度を最後に廃止。減反に協力した生産者に補助金を支給する「経営所得安定対策」(旧戸別所得補償制度)は、来年度から10アール当たり7500円に半減するなど、コメの価格や所得を市場に委ねるように見えます。

 ところが、飼料用としてコメを生産する場合は10アール当たり最大で10万5000円の補助金が支給されます。農林水産省によると、飼料用米は07年の例で、山形県内の牧場が700キロを3万2000円(1キロ=約46円)で買い入れています。主食用米は1キロ当たり平均250円ですので、約5倍の価格差があるのです。

 市場原理でいえば、飼料用米に参入する生産者は相当な「企業努力」が求められますが、手厚い補助金で補償されます。それを後ろ盾に、タダ同然で販売する生産者も出てくるかもしれません。

 しかし、その背後に国民の税金が投入されていると考えると……。そもそも、飼料用米にそれほどの需要があり、そして消費者も望んでいることなのでしょうか。本来の姿をゆがめ、その負担を将来にまわすのは賢明な選択とは言えません。

◆WEDGE2014年3月号より









 

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