Most basketball players are very tall.
この例文が流れた後に、自分で英文をタイプしていくのだが、大文字と小文字の区別、スペースやピリオドなどの入力は必要ない。つまり、学習者は―― mostbasketballplayersareverytallと、打ち込んでいけば、画面上には先に示した例文がアルファベットの打ち込みに連動して表示されていく。英語の表記の問題を考えずに、そのままアルファベットを打ち込めばいいので、初心者にはとてもやりやすい。筆者は楽しみながらディクテーションの練習ができた。例えば、間違ったアルファベットを打った瞬間に警告音が出て、画面上では英文の入力が進まない仕組みになっている。さらに、英文を完成するのにかかった秒数も表示されるなど、筆者は正直なところゲーム感覚で、どんどん練習がはかどった。
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ただ、なぜか、英文の最初の音がとても聞きづらいことがたびたびあった。わたしのリスニング力が低いのだろうか? あるいは音を収録する際のテクニカルな問題なのだろうか。また、He is 100 times richer than me. (彼は私より100倍金持ちです)という例文では、100の部分をhundredと入力すると正解にならない。100と入力しなければいけないのだ。聞き取っている音としては正解なのだから、こういう点も改良の余地があるのでは、と思った。もちろん、こうした点は瑣末なことで、本書の価値を下げるものではない。ましてや、もろもろ盛り込んで、本書の本体価格が1890円であることを考えると、非常にお買い得な英会話本だと思う。
文法の基礎を身につけたい人に
文法の解説書としては、冒頭で紹介したように、中学校卒業か高校1年レベルなので、まさに基礎を身につける、あるいは復習するという内容だ。受験英語が得意だった筆者にとっては、簡単に感じられるレベルだった。とはいえ、いくつか丁寧な指摘で勉強になるところもあった。
例えば、There is の構文を説明するレッスンでは、My office is in downtown Tokyo.(私のオフィスは東京の中心にあります。)とは言っても、×There is my office in downtown Tokyo. とはしない、と指摘する。
なぜなら、There is は「相手が知らないと思われる何かの『存在』を相手に教える表現」だからだ。「存在自体ではなく『(存在する)場所』を相手に教える場合は『主語+is(are)+場所の副詞(句)』という形にします」と説明する。つまり、×の例文は「『私のオフィスはあるのです』とオフィスの存在自体を伝えています」という。なるほど、深く考えずに使っていた。