一言で言うと初心者向きだ。高校生の夏休みの副読本にちょうどいいのではないか。正直なところ、これが本書を手にとって受けたわたしの第一印象だ。しかし、一通り読んで勉強し終えるころにはなかなかよかったなと思えた。連載2回目となる今回とりあげる英会話本とは、つまりそういう種類の本である。
科学的に選び出された100の単語
もちろん、わたしは英語教育に専門に従事しているわけではないので、本書の内容がどれくらいの英語レベルに適しているかを正確には表現できない。(例えば、TOEICで何点くらいの実力に見合ったレベル、など)。もっと正直にいえば、「ちょっと、簡単すぎないかな」というのが最初の思いだった。連載の初回にも告白したが、わたしはいわゆる英会話こそ不自由しているが、大学受験でかなり英語を勉強した。そのわたしにとっては、本書の内容のレベルに物足りなさを感じたのは事実だ。
『日本人に足りないネイティブの英単語100』というタイトルが示すとおり、本書を読めばこの100の英単語を身につけられる。しかも、この100の単語は科学的に選び出したものだ。米国や英国の実際の話し言葉や書き言葉のデータを解析し、信用頻度が2000~2999位に入ってくるなかでも重要度が高い単語を選び抜いたものだという。
なぜ、2000位以降なのか。平均的な日本人であれば、中学、高校で英語を勉強すれば、使用頻度が上位2000位までの英単語はだいたい身についているからだ。そこから、さらに英語の語彙力を高めるために編まれたのが本書というわけだ。
語彙を豊かにする3つのコツ
本書は「はじめに」の冒頭で、「どうしたら英語が上達するんだろう?」と問いを掲げ、その3行後にいきなり答えを提示する。「でも実は答えは簡単で、日本にいながら英語を上達させる確実な方法は、英語の本を習慣的に読み、役立つ単語や語句などの語彙を覚えることなのです」。たぶん、そんなことはわたしも知っているし、みんなも知っている。じゃあ、どうすればいいんだ? そうした読者のニーズに応えるのが本書だ。