2024年11月22日(金)

患者もつくる 医療の未来

2014年4月25日

 その内容は、医療機関内に掲示するための「医療者向けポスター」と「患者向けポスター」、そして、「分娩誘発・促進(子宮収縮薬使用)の際の患者や家族への説明書・同意書」(例)です。

 特に重要な3つめの「分娩誘発・促進(子宮収縮薬使用)の際の患者や家族への説明書・同意書」は、「産科医療補償制度」のホームページのトップページから「資料集」→「再発防止に関する報告書・提言」とクリックしていったページの下の方にある「産科医療補償制度 再発防止委員会からの提言」の中にあります(該当ページの文書には2つのリンクが記載されていて、そのうちの下の方を、さらにクリックすれば、ようやく「説明書と同意書の例」が出てきます)。

 医療機関で出産をする妊婦本人や家族は、ぜひこの「説明書と同意書」のひな形を印刷をして医療機関に持って行っておきましょう。

 そして、「子宮収縮薬を使う場合は、必ずインフォームド・コンセントをこの文書に沿ってやってほしい」と医師に伝えておくとよいでしょう。

 今も、子宮収縮薬は非常に多くの出産で使用されています。しかし、重度の脳性麻痺になった事例の原因分析結果から分かることは、医師が、きちんとガイドラインや薬の添付文書の使用上の注意を守っているケースでは、重度の脳性麻痺になっている事例がほとんどないということです(もちろん、産科医療補償制度が対象としていない軽度の脳性麻痺の事例がどのようになっているかはわかりませんが)。

 ようやく、産科医療や新生児医療の関係者や被害者などがいっしょになって、産科医療事故の再発防止の取り組みが始まりました。ただ、再発防止に関する報告書や提言、今回の説明書・同意書のひな形の見本などは、産科医療の現場に伝えられてはいますが、関係者がしっかりと目を通し活用しているかどうかは分かりません。

 しかし、妊婦や家族の側がそれを読み、その上で、医師らと話をすることになれば、医療機関側も改めて、それらの文書にしっかりと目を通し、活用することになるでしょう。

 このような取り組みがなかった時代の妊婦や家族は、医療機関に任せるしか術はありませんでした。しかし、今は違います。ぜひ、事故の原因分析を元にした再発防止に関する報告書や提言に目を通しておいた上で、医師らとしっかりと話し合いをして納得の上での信頼関係を結び、安全なお産を目指して下さい。

*後篇では、子宮破裂やクリステレルについてお話しします。


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